老化と年齢の関係について調査研究を行う「年齢研究所」はこのほど、要介護・要支援の原因となる六つの疾患とがんの発症リスクが上昇する年齢を算出し、「新厄年」として発表した。新厄年は満年齢で男性が24歳、37歳、50歳、63歳、女性が25歳、39歳、52歳、63歳。同研究所は新厄年について、「厄年『再考』」と題したセミナーを東京都内で開き、同研究所所長で茨城キリスト教大学の板倉弘重名誉教授は「63歳は、男女とも7疾患の発症リスクがもっとも急上昇する年齢。新大厄と呼んでよい。健康でアクティブな老後を過ごすために、注意を喚起したい」と話した。
「新厄年」は、日本医療データセンターの協力を受け、11年1~12月に20~73歳の75万8207人について調査し、算出した。対象となった疾患は要介護・要支援の原因となり、「健康寿命を損なう」とされる脳血管疾患、認知症、変形性ひざ関節症、骨粗しょう症、虚血性心疾患、糖尿病の6疾患と、がんの計7疾患。それぞれの疾患について性別、年齢別に発症率を調査し、発症リスクが上昇する年齢を定義した。そのうち、男性の24歳、女性の25歳は七つの疾患の発症率が最初に増加傾向に転じる年齢だった。
厄年は現在、一般的に数え年で男性が25歳、42歳(大厄)、61歳、女性が19歳、33歳(大厄)、37歳とされているが、諸説あり、平安時代からの風習ともいわれている。セミナーで板倉教授は新厄年の設定について「環境も我々の平均寿命も非常に変わってきた。それを考慮に入れて現代の厄年を考え直した方がいい」と述べた。
セミナーでは「『新厄年』を乗り切る食生活のポイント」として、せんぽ東京高輪病院の足立香代子・栄養管理室長も講演し、同調査から「男性は糖尿病が発端になって合併症で脳血管疾患、虚血性心疾患を発症することが推測できる。女性は骨粗しょう症と変形性ひざ関節症が出てくるのが特徴」と指摘。食生活で注意することとして「適正なエネルギー量をとる」「炭水化物を減らす」「脂肪は動物性よりも植物性をとる」「食物繊維、緑黄色野菜を増やす」「塩分を控える」「食事の際はおかずから食べる」「良質なタンパク質をとる」「抗酸化食品をとる」「カルシウムをとる」ことを挙げた。中でも抗酸化物質を豊富に含む食材としてトマト、ニラ、ニンジン、ホウレンソウ、ブロッコリー、黒大豆、サーモンなど、カルシウムを効率よくとれる食材としてひじき、春菊、小松菜、ヨーグルト、牛乳、チーズなどを挙げている。
年齢研究所のサイトでは、今後「『新厄年』予防レシピ」として料理レシピを公開する予定。(毎日新聞デジタル)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121001-00000003-maiall-soci