5月の金環日食で使った日食グラスをアフリカに届けようと、宮崎県都城市のたちばな天文台が全国の天文ファンに回収への協力を呼びかけている。
中央アフリカのウガンダやケニアなど7か国で金環日食が観測できる来年11月3日(現地時間)に向け、掲げた目標は100万個。「日本中に広がった感動を今度はアフリカで」と願いを込める。
日食グラスの回収を発案したのは、同天文台台長を務める蓑部樹生(たつお)さん(66)。知人の国際協力機構(JICA)職員から、中央アフリカでは前回の2010年1月15日の観測時、裸眼で太陽を眺めて目を傷めた人が多かったという話を聞いていた。
今年5月21日の金環日食と、6月6日の金星の太陽面通過に合わせ、日本国内で販売された日食グラスは推定約3000万個。
しかし、蓑部さんによると、国内で次に日食グラスを使った観測が期待できるのは16年3月9日の部分日食で、3年半も先だ。
蓑部さんは「アフリカには内戦が続いている国もある。天体ショーを見ることで人々が平和な心を抱くきっかけになれば」と話す。
7月から同天文台など5か所に回収箱を置き、全国約200の天文台や個人が加盟する日本公開天文台協会に協力を呼びかけた。
インターネットで回収を知り、3個郵送した佐賀県鳥栖市の自営業水田哲夫さん(73)は「天候が悪く、自分は観察できなかった。アフリカでぜひ役立ててもらいたい」と語る。
たちばな天文台は、全国の博物館やプラネタリウムを備えた施設にも協力を要請し、来年3月まで回収を続ける。その後、JICAや日本赤十字社に依頼し、現地に届ける計画だ。郵送での回収も受け付ける。宛先は〒889・4505 宮崎県都城市高崎町大牟田1461の22のたちばな天文台(0986・62・4936)へ。
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