公益社団法人日本通信販売協会がまとめた「2011年度通販市場売上高調査」によると、昨年度(2011年4月~2012年3月)の通信販売の売上高は、2010年度との比較で約4,200億円増の5兆900億円であった。同協会が調査を開始した1982年以来、初の5兆円突破となった。
背景としては、インターネットに接続できる環境さえあれば、24時間買い物が楽しめるネット通販利用者の広がりが大きいことが考えられる。さらにネット通販は、利用者数ばかりでなく、若者層からシニア層まで、幅広い年代が利用するのも特徴だ。そこで各企業では、一層のネット通販の充実化をはかり、新規顧客の獲得と増収増益を目指している。
今年7月、店舗運営に加え、オンライン店舗などネット通販強化に乗り出したのが、日本のアウトレット施設の草分け的存在である軽井沢・プリンスショッピングプラザ(長野県軽井沢)を運営する西武プロパティーズだ。長野新幹線「軽井沢」駅に隣接し、好立地である同プラザだが、さらなる売り上げアップのために、来店以外のショッピングができる環境整備が必要不可欠と判断し、今回のネット通販導入にいたったようだ。初年度となる今年は、ブランド数は70、年間売上目標を8億円としている。
一方、今年4月、日本最大級のポータルサイトであるヤフーと、事務用品の通信販売でおなじみのアスクルが資本・業務提携を発表した。今年中には、ヤフーのトップページから入る新しいネット通販ウェブサイト「ヤスクル(仮称)」が開設される運びだ。売り上げは、5年後をメドに、連結売上高5,000億円(連結営業利益200億円)を目標としているが、始動時期など具体的な発表はまだ行われていない。
また、医薬品と衛生雑貨を取り扱う小林製薬(本社:大阪)は、今月1日より医薬品の通信販売をスタートさせた。販売品目は、薬事法で通信販売が認められている副作用が少ない第3類医薬品で、大腸の整腸薬「コバガード(3,045円・270錠)」ほか、高コレステロール改善薬や関節痛緩和薬など4タイプ。小林製薬の場合、通信販売のスタートは1993年であり、製薬会社の中では古株。1999年にはサプリメントの販売を始めるなど、取扱品目、取扱高ともに順調だ。2012年3月期には、103億円の売り上げを記録するにいたった。そのため、通信販売事業のさらなる強化策の一環として、これまでも要望が多かった医薬品の販売に踏み切ったようだ。
右肩上がりで絶好調のネット通信販売業界。販売される商品数の充実や利便性の良さなど、ますます魅力が増しており、今後の動向に注目が集まる。
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