夏に突然発生し、甚大な被害をもたらす局地的な大雨「ゲリラ豪雨」の動きを監視するため、気象庁は全国のレーダー観測所の観測データを高精度で解析する処理装置の整備方針を決めた。新装置を運用開始する平成26年度以降、250メートル四方単位で、30分後までの正確な降雨予測が可能になるとしている。整備費用3億2千万円を来年度予算の概算要求に盛り込んだ。
気象庁は北海道から沖縄まで全国に20カ所あるレーダー観測所で雨雲を監視し、1時間後までの雨の降り方を予測する「降水ナウキャスト」を運用、ホームページで公開している。
現在のレーダーの解析能力は1キロ四方にとどまっており、急激に発達する小さな雨雲の動きを捉えるのは難しい。このため、局地的な大雨の予測にばらつきが出ることがあった。
新たに導入する処理装置の解析能力は現在の16倍。250メートル四方の雨をレーダーから半径100キロ以内の範囲で観測できる。さらに国土交通省が全国35カ所に整備を進める高性能レーダーのデータを取り入れることで、国土をほぼカバーできるという。
2種類のデータを統合するためデータ量は従来と比べ最大約100倍になるが、気象庁は装置導入に合わせてコンピューターによる予測システムを開発。30分後までであれば、雨雲の勢いや移動状態をほぼ正確に予測できるという。
気象庁がゲリラ豪雨の監視態勢を強化する背景には、発生数の増加傾向がある。
国内のアメダス1千地点当たりの回数でみると、1時間に50ミリ以上降ったゲリラ豪雨は、平成3年までの10年間で年平均186・6回▽13年までの10年間で同199回▽23年までの10年間で同225・6回と増加している。
気象庁は「局地的な大雨で住民が被害に遭い、亡くなることもある。数日前に予報することは困難だが、少しでも早く変化が伝えられれば、避難などの対処が可能になる」としている。
■「ゲリラ豪雨」大阪が130回で最多
気象情報会社ウェザーニューズ(東京)が、突発的で局地的な「ゲリラ豪雨」はこの夏、大阪府が全国で最も多い130回だったとの調査結果をまとめた。データが集まった8月7~28日の集計で全国平均は約36回。京都府67回(6位)、兵庫県62回(7位)と近畿で多い所が目立った。同社は、「8月後半に、太平洋高気圧の中心が東・北日本に移ったため、西日本に湿った空気が流れ込み、京阪神は風が集まって雲が発達しやすかった」と分析した。
西日本の太平洋側は雨が多くても突発的でないケースもあり、高知県13回(39位)、宮崎県3回(46位)など。関東から東北にかけては、宮城県が全国最少の2回、千葉県19回(34位)など、高気圧の強い状態が続きゲリラ豪雨の少ない場所が多かった。同社は当日朝の時点で予想できなかった「ザーザー以上」の強い雷雨をゲリラ豪雨と定義。同社の携帯電話サイト利用者の通報などからカウントした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120908-00000502-san-soci