[ カテゴリー:医療 ]

「がん電話相談」30年 主治医に聞けない悩みに答え

■死因1位受け、がん相談開始

がんの診断や治療法などで悩んでいる人の質問に答える「がん電話相談」が始まって、今年で30年を迎えた。がん告知が一般的でなかった30年前から、がん患者や家族の悩みに答え、これまでの相談件数は9万件近い。がん電話相談の歩みと、がんをめぐる患者や家族への相談支援の取り組みを追った。

◆情報が欲しい

昭和56年、日本人の死亡原因として脳血管疾患(脳卒中)に代わり、がんが初めて1位となった。脳血管疾患が結核を抜いて死因1位になったのは30年。がんが、26年間変わらなかった死因1位になったことは当時、大きな話題となった。この出来事が、がん電話相談スタートのきっかけだった。

「当時、がんセンターなどの病院は全国に整備されていたが、患者や家族が相談できる機関は全くなかった。治療の情報を得ようにも、あの頃は担当医に直接相談しづらい雰囲気があり、ためらう人が多かった。電話相談を開設することで、少しでも患者や家族の力になれればと思った」。がん電話相談生みの親の一人で、当時、産経新聞編集委員だった江川周(まこと)さん(85)は振り返る。

翌57年8月2日、東京都豊島区にあった癌(がん)研付属病院(現がん研有明病院)内に電話相談室を開設した。当日は正午から午後3時までの受付時間に1307件の質問電話が相次ぎ、担当者は息つく暇もないほどの忙しさ。受け付けた相談に対する医学的な回答は、同病院の部長級以上のベテラン医師が担った。

開設時から相談に携わってきた同病院の中島聰總(としふさ)顧問(75)は「がんで悩んでいる患者さんや家族の誰もが相談できる電話相談は画期的だった。昔は情報がない中で、がんと診断されたがどうしたらいいんだと悩み、相談する人が多かった。治療のガイドラインが導入されるなど、がんをめぐる状況はこの30年で大きく変わった。しかし、患者さんにとってがんが深刻な問題であることは今も変わらない」。

◆制度はできたが

開設当初、がん告知は一般的でなかった。このため、がんと診断されたわけでもないのに「自分は本当はがんではないか」と不安を抱く人からの相談も多かった。こうした相談と、がんと診断されて治療法をどうすべきか悩んでいる人の相談は、ほぼ半々。一方で、「肝がんで入院している義父は孫をあやすのを楽しみにしているが、がんのウイルスが感染しないか心配」など、今では考えられないようながんの感染や遺伝について不安に思う声もあった。

この10年ほどで、医師が患者に病状や治療方針を明確にし、合意を得てから治療するインフォームドコンセントが普及。患者が納得する医療が行われるようになったといわれる。

ただ、医師が患者にはっきりと病状を説明することはいいことばかりでない。「『これ以上治療することができないので別の病院に行ってほしい』と医師から言われ、途方に暮れて相談を寄せる人もいる。日本の医師はキュア(治療)には熱心だが、緩和医療を含めて患者をトータルにサポートするケア(世話、心遣い)は苦手。本来なら主治医が行うべきケアについて、電話相談が担ってきた面もある」と中島顧問。

がんになっても手術後20年、30年と長く生きる人も今では珍しくない。胃がんの手術ではかつて、手術後1週間は寝たきりだった。しかし今では、腹腔鏡(ふくくうきょう)など治療道具の進歩で翌日から普通の食事ができるようになった。

中島顧問は「セカンドオピニオンなど必要な制度は整ってきたが、制度はあっても主治医に遠慮して利用しない患者さんはまだ多い。電話相談は、主治医とは別のがん専門医に直接電話で質問できるという意味でも患者さんのニーズは高い。自らの治療について考える一助としてこれからも利用してほしい」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120829-00000528-san-soci

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