米国で蚊が媒介する西ナイル熱が猛威を振るっている。死者は40人を超えて過去最大の流行となる恐れが強く、米当局は厳重警戒を呼び掛けている。人から人には感染せず日本ではまだ流行していないが、米国など西ナイル熱の流行地域への渡航者などは、注意を払う必要がありそうだ。
米CNNテレビ(電子版)は23日、西ナイル熱による今年の全米の死者は41人に達したと伝えた。感染例は38の州で1100件を超えており、1999年に米国で初めて感染が確認されて以来、年初から8月までとしては最多となった。半数が南部テキサス州に集中している。
夏場に流行することが多い西ナイル熱について、米疾病対策センター(CDC)の医師は今年の猛烈な暑さが人への感染を助長している可能性を指摘した。医師は「発症し病院に行き、報告されるまでに2週間はかかり、感染例はもっと増えると予想する」と警戒を呼び掛けている。
米国では2002年にも大流行しており、日本では厚生労働省が02年に感染症法に基づき、医師に症例の届け出を義務づける感染症に指定した。05年に米国から帰国した男性が国内初の感染者として確認されたが、国内で感染したとの報告はない。
しかし、米国でもニューヨークで突然、大流行したことがあり、日本でも流行しない保証はない。厚労省は西ナイル熱や脳炎のような症状が出たら、医療機関を受診するよう呼び掛けている。
【用語解説】西ナイル熱
蚊を媒介とするウイルス感染症。人は感染した蚊に刺されて感染する。約80%は無症状で発熱や下痢などの症状が出ることもある。脳炎を起こせば最悪の場合は死亡する。ウガンダの西ナイル地区で初めて確認され、アフリカや欧州、中東などでの流行例が報告されている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120826-00000076-san-soci