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「花火」を科学する―花火の色や形はどうつくる? 煙の少ない花火をつくるには?

花火の季節がやってきた。夜空をいろどる花火は,科学のかたまりだ。たとえば花火の色は,高温の金属化合物が発する色だという。では,花火の色や形はどのようにつくられているのだろうか。

■ ほとんどの花火の色は,4種類の金属化合物でつくられる
炎の中に金属化合物を入れると,炎はその金属特有の色になる。これを「炎色反応」とよぶ。花火の色はこの炎色反応を利用している。花火の星の火薬には,「炎色剤」として色を決める金属化合物が入っている。

花火では主に,赤を出すストロンチウム化合物(硝酸ストロンチウムなど),緑を出すバリウム化合物(硝酸バリウムなど),黄を出すナトリウム化合物(硝酸ナトリウムなど),青を出す銅化合物(酸化銅もしくは銅粉)が使われる。ほかの色を発色する金属化合物もあるが,取り扱いの問題などから,ほとんどの花火では上記の4種類を組み合わせて色をつくっている。現在では,オレンジなどのさまざまな色が登場している。

4種類を混ぜ合わせて,と聞くと新色をつくるのは簡単に思えるかも知れない。しかし炎色剤以外の成分も発色をかえたり,色を淡くしたりする作用があるため,実際に色を調合するには火薬全体のくふうが必要になる。思い通りの新色をつくるのは,至難のわざなのだ。

■花火の「尾」は基本的に単色
打ち上げ花火の大部分は,「割物」と「ポカ物」にわけられる。割物は爆発によって,星が四方八方に飛び,球状に開くタイプだ。ポカ物は,「ポカッ」と二つに割れて,中身が落ちるタイプだ。柳の枝のように光の尾を引く「柳」などがポカ物である。

尾を引く花火は,そうでないものと何がちがうのだろうか。実は,玉に使われる火薬がちがうのだ。尾を引きたれさがる花火では,火薬の調合により,星(火薬)が火の粉をまき散らしながら飛んでいく。その火の粉は,大部分が炭素や金属の粒でできている。そのため,尾の色は黄色(高温の炭素)や,金色や銀色(高温の金属)で,基本的に単色だ。尾をカラフルにするのは,とてもむずかしいのだという。

チョウやハート,にこにこマークなどの形が打ち上がる花火は「型物」とよばれる。型物は,あらわしたい形のように星をうまく並べてつくられている。大部分の型物花火は平面構造だ。そのため,開いた花火の角度や見える位置によって,見えにくい場合もある。近年では,立体的に設計されることもあるが,それでもどの角度から見ても形がわかるようにするのは,むずかしいらしい。

■ 煙が少ない花火はできる?
花火大会を見ていて,煙が邪魔で肝心の花火が見えない,という経験はないだろうか? 現状の花火ではどうしても,煙が発生するため,風がないとその場に煙がたまってしまう。そこで,煙が少ない花火の研究も行われている。

花火の研究を行う足利工業大学の丁大玉教授は,「原理的には煙が少ない花火も可能です。たとえば,自動車のエアバッグに使われているような火薬を使う方法があります」と話す。煙は火薬が燃えたあとにただよう微粒子だ。エアバッグに使用される火薬は燃えても粒子が少なく,かわりに窒素ガスが多く発生する。ちなみにエアバッグでは,その発生するガスで袋をふくらませている。花火火薬の可燃剤をそのような火薬に置きかえることで,煙を少なくすることは可能だという。

「実際に実験を行ったことがありますが,そのような火薬を使えば,煙が少ない花火はできます。ただし色をきれいに出すためには配合などにくふうがいるでしょう。またコストが高いため,実際に使われるようになるかはわかりません」と丁教授は解説する。

この夏,火の扱いには十分に気をつけてぜひ花火をやってみよう。花火を見る際には,その色や形の科学を考え,楽しんでみてはいかがだろうか。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120727-00000301-newton-sci

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