明治維新前夜、長岡藩など奥羽越列藩同盟軍と新政府軍が激しい攻防を繰り広げた北越戊辰戦争。最激戦地となった長岡市大黒町に、地域の人が体験した戦争の姿を伝える「長岡市北越戊辰戦争伝承館」が誕生した。2階バルコニーからは、日本の軍事史に名を残す同藩軍事総督、河井継之助の率いた長岡城奪還戦の舞台、八町潟(八丁沖)が遠望できる。
「2キロほど先に見える田んぼが八町潟です。当時は(渡ることが不可能とされた)沼地で、河井継之助が午前4時ごろ、700人の藩兵とともに渡沼し、新政府軍に占領されていた長岡城奪還を果たします」
郷土史家で、伝承館の安藤一彌館長(69)が指さす場所はのどかな田園風景だった。
慶応4(1868)年5月、長岡藩は新政府軍との会談が決裂すると、同盟軍に与して参戦。同市大黒町を含めた新組地域が新政府軍との激戦地になり、1日で両軍合わせ約160人が死傷する戦いもあった。攻防は2カ月の長期にわたり、長岡藩は城を再び奪われ敗走。この間、住民たちは両軍から家を兵の宿舎にされ、陣地作りや弾運びなどで軍役を課されるなど戦いに巻き込まれ、ついには多くの家が焼き払われている。
伝承館は長岡、見附市内で両軍が戦った跡が分かるジオラマが設置され、住民に伝わる逸話などを紹介。戦いごとの戦死者の名簿や地域に奇跡的に残っていたエンフィールド銃、激戦を示す銃撃戦で穴の空いた戸板などが展示されている。
安藤館長は「140年前にこの地で何があったのか。長岡藩でも勝利した新政府軍でもなく、地域の人から見た北越戊辰戦争を伝えたい。そして、ここにどこから誰が来て戦ったのか。同盟軍、新政府軍関係なく紹介している」と話している。
入館無料。月曜と金曜、12~3月休館。問い合わせは、同館(電)0258・21・2688。
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