政府は18日、沖縄を除く各電力会社の節電目標を10年夏比で5~15%以上とし、電力使用制限令の発動を回避することを正式に決めた。同時に家庭向けに節電メニューを公表し、エアコンの設定温度を上げたり照明をこまめに消すなどの自主的な節電を求めた。しかし、強制力のない節電要請でどの程度の効果が上がるかには疑問が残る。専門家からは、最も高い15%以上の節電を要請された関西電力管内での目標達成を危ぶむ声も出ている。
政府は、関電管内の電力不足について電力融通を受けることで解消できるとして電力使用制限令の発動を回避した。家庭向けに節電メニューを作成して協力を呼び掛けるが、実効性には疑問も残っている。
経済産業省がホームページで公表した家庭用の節電メニューでは▽お湯は電気ポットでなくコンロでわかす▽ノートパソコンは日中、コンセントからプラグを抜いて充電を利用する▽昼間は掃除機でなくモップやほうきを使う--などを挙げた。エアコンの設定温度を28度にするよう求めているが、15%の節電目標を設けた関電管内ではさらに「2部屋でエアコンを使用している場合は1部屋に減らして使用する」が加わり、逼迫(ひっぱく)の度合いによって差を付けた。
今夏初めて導入されるのが、携帯電話の「緊急速報メール」機能を使った通知だ。緊急地震速報が受信できる携帯であれば基本的に自動受信するといい、計画停電の予想される時間の3~4時間前に、管内の携帯電話に一斉にメールが送られる。文面は「停電になる可能性があります。身の回りの電気を消してください」など切迫した状況を伝えるものになるといい、経産省は「家庭の電気を少しでも消してもらい、停電を回避するための緊急避難措置」というが、「どれだけ節電につながるかは、やってみないとわからない」と話す。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの鶴田零副主任研究員は「昨夏の節電の検証が不十分。利用者の負担度合いと節電効果の関係が不確かなままでは、利用者に無駄な負担を強いるだけだ。結局は利用者の努力頼みになってしまう」と、効果がわからないままの節電要請を疑問視する。
使用制限令発令が見送られたことには、大和総研の溝端幹雄主任研究員は「強制力がないと『自分だけは節電しなくても構わないだろう』と誰もが考え、結果的に節電ができない。今夏の関西電力は使用制限令がないので、15%もの節電はかなり難しいだろう」と、強制力のない状態を懸念している。
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