農家が収穫した野菜や果物など農産物を直接販売する「農産物直売所」が人気を博している。昨年1年間の県内直売所の販売額は107億円で、100億円の大台を初めて突破し、過去最高を記録した。原発事故の影響で消費者が「食の安全・安心」を求める傾向が強まっている中、新鮮な農産物が安く手に入り品ぞろえも多いのが魅力だ。消費者と触れ合うことで生産した農作物の評価が直接確認できるため、生産意欲の向上につながり、品質が良くなるという好循環も生まれている。
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県食品・流通課によると、平成23年の県内直売所の年間販売額は前年と比べて11・1%増加し、10年前の13年と比べると10倍に膨らんだ。店舗数も624店舗で、13年比で約2倍となっている。
取れ立ての旬な農産物に引き寄せられる消費者が増えて店舗の大規模化も進み、年間販売額が1千万円以上となった店舗が、前年より18店舗増えて186店舗となり、全体の約3割を占める。1億円以上の直売所も4店舗増の25店舗となった。
最近ではJAや農業生産法人など生産者側だけでなく、農機具販売会社といった生産者に近い一般企業が、経営ノウハウを生かし消費者の視点に立った直売所の展開に乗り出すなど裾野が広がっている。
4月5日には新潟市西区にある第三セクターの観光物産施設「新潟ふるさと村」の展示施設・バザール館に農産物直売所がオープンするなど、県も地産地消の推進や農家の所得向上につながるとして、直売所の整備に取り組んでいる。
第四銀行系調査機関の新潟経済社会リサーチセンターは直売所の一層の活性化に向け、「生産者は直売所で経営感覚を身に付けてほしい。『作った物を売る』から『売れる物を作る』へと意識を変え、利益が得られる価格設定を実現することが重要だ」と指摘する。
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