京都府亀岡市や千葉県館山市で登校中の児童の列に車が突っ込む事故が相次いだことを受け、文部科学省は27日、通学路の全国調査に乗り出す方針を固めた。現状を分析し、より安全な道に変更したりスクールゾーンを拡大したりするなど、児童・生徒の安全強化策を検討する。
文科省は隔年で学校の安全管理について全国調査を実施しているが、これまでは犯罪予防が主な対象で、交通安全に関する調査はほとんど含まれていなかった。
警察庁の統計で、児童・生徒の年間交通事故死者数は155人(11年)。しかし、登下校中に限ったデータは正確に把握されていない。日本スポーツ振興センターは学校の管理下で児童が死亡した際に支払う供花料の請求数を基に「少なくとも35人(11年度)」としている。
こうした状況を受け、文科省は登下校時の被害実態や通学路の安全確保の状況について、調査する必要があると判断した。
調査では、各地の通学路が▽車道と歩道の区別がある▽歩道の幅が児童・生徒の通行に十分▽遮断機のない踏切は避ける▽見通しが悪くない--などの点を踏まえた上で設定されているかを確認。必要であれば車両規制を伴うスクールゾーンの設定を自治体に要請するなどの対策を検討するという。
5月29、30日に都道府県・政令市教育委員会の学校安全担当者を集めた会議を開き、調査の内容や時期を議論する予定。
◇早く対策実現し、一人でも救って…遺族らの会
交通事故遺族らでつくる「TAV交通死被害者の会」(大阪市)の代表で、13年前に長女(当時7歳)を通学路の事故で亡くした西浦義朗さん(50)は、文科省が本格的な調査に乗り出すことについて「早く対策を実現し、一人でも多くの命を救ってほしい」と期待する。
西浦さんは、(1)通学路が車の抜け道に利用されていないか(2)交差点に、歩行者の横断中は車の信号がすべて赤になる「歩車分離信号」が導入されているか(3)歩道がガードレールや段差で車道と区分されているか(4)路上駐車の車はないか(5)カラー舗装などで歩道であることがすぐ分かるか--の5点を調査すべきだと指摘。「こうした事故をなくすには生活道路内をすべて時速30キロ以下にするなどの対策が有効だが、規制には住民の協力や連帯が必要になる」と話している。
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