白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏が、太らないために、夕食を摂る時間について解説する。
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「夕食はいったい何時頃食べれば、太らないのでしょうか?」
皆さんからよく聞かれる質問の1つだ。仕事が忙しく、食事がついつい後回しになることもあるだろう。メタボリック・シンドロームを発症しないためには、夕食の時間も重要なのだろうか?
日本大学薬学部の榛葉繁紀博士は体内時計遺伝子の1つであるビーマル1(BMAL1)が、脂質代謝の概日リズム(24時間周期で変動する生理現象)を制御していることに注目した。ビーマル1遺伝子とは、5つある時計遺伝子の1つで、昼と夜の概日リズムを刻んでいる。
マウスを使った実験でビーマル1の血中濃度を調べたところ、午後10時頃から急増し、午前2時~4時頃にピークを迎えることが分かった。明け方の午前6時頃になると減り始め、午後2時頃には最も血中濃度が低くなるのである。
ビーマル1は脂肪を脂肪細胞に溜め込むための酵素を誘導する一方で、脂肪を分解する酵素の発現を抑制する働きをする。ビーマル1の血中濃度が高いと脂肪を蓄積する「蓄積モード」、血中濃度が下がると脂肪を燃焼させる「燃焼モード」になる。
つまり、冒頭の質問の答えは、夕食はなるべく早い時間に食べた方がいいということになる。夜中のラーメンなど最悪の部類だ。
※週刊ポスト2012年5月4日・11日号
http://news.goo.ne.jp/article/postseven/life/postseven103850.html