米寿を迎えたいまも、多数の料理教室の生徒をかかえ、テレビや雑誌に引っ張りだこ。上品かつ軽妙な語りとともに和の家庭料理を伝える“登紀子ばぁば”こと、料理研究家の鈴木登紀子さん(88才)。そんな鈴木さんが“お箸”について教えてくれた。
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配膳は、これはどんな場合でも、ご飯茶碗が左、汁椀は右に並べます。その理由のひとつは、右手を利き手と考えたときに、器を持つ左手の側にこぼれやすい汁椀を置かないという配慮があります。
左利きのかたは、食べやすいように、「いただきます」のあとに並べ替えてもよいのですよ。
一汁三菜の場合は、その向こう左側に焼きものか煮物、お刺身があれば右側へ、中央に和えものを置いて、全体を四角形にまとめます。
ところでお漬けものですが、これがたっぷりと用意されているのが家庭料理のよさですから、大きめの器に盛り合わせて取り箸を添え、取り分けていただくほうがおいしい気がします。
さて、おいしいお料理が食卓に揃いました。
「いただきます」のあと、まず手に取るのは器です。お箸ではありませんよ。ドラマなどではお箸を手にのせて「いただきま~す!」とやりますが、これは大変恥ずかしい間違いです。
まず汁椀を両手にとって味わい、それからご飯とおかずをいただく。お漬けものはその合間に。まっ先にお漬けものに箸をつけてはいけませんよ。
口うるさいばぁばと思われるでしょうか。でも、あなたのお料理が家族の命を紡ぎ、子供の心を育てるのですよ。しつけは食卓から始まることを、どうぞ忘れないでくださいね。
※女性セブン2012年3月29日・4月5日号
http://news.goo.ne.jp/article/postseven/life/medical/postseven97029.html