◆和食で春を祝いたい。
◇桜色で門出を応援 お赤飯、炊飯器で簡単に
桜の花がほころび始めるころ、新たな門出を迎える人は多い。喜びと励ましの気持ちを込め、春のお祝いの食卓を調えたい。料理研究家の河合真理さんに紹介してもらった。
河合さんは昔ながらの素朴な味をアレンジした料理を提案している。10代のころから、祖母で料理研究家の故・阿部なをさんの助手を務め、和食の基本をたたき込まれた。「祖母は雪国の青森県出身でした。春が近づいてくると、そのお祝いといってお赤飯を作ってくれました」と懐かしむ。卒業式、入学式の折にもこの赤飯を食べたという。
普通はもち米を蒸して作るが、阿部さんは、うるち米ともち米を半々にし、炊飯器で炊き上げた。ささげを別鍋で炊き、煮汁でご飯を炊いて、豆と混ぜる。極上のお祝い事には、黒豆を使った。黒豆を少し甘めに炊き、ご飯は赤ワインを入れて炊いて黒豆を混ぜる。赤いご飯に黒豆が映え、特別な日のごちそうになったという。
今回はささげを使った「簡単お赤飯」のほか、「鯛(たい)の昆布〆(こぶじめ)」「紅白のしんじょ椀(わん)」の3品を紹介する。
「簡単お赤飯」はもち米とうるち米が半々なので、さっぱりとしていて食べやすい。好みで赤ワインを煮汁と一緒に加えると、さらに鮮やかな色になり、香りも出ておいしい。旬のタケノコ、グリーンピースなどの炊き込みご飯を作る際も、もち米を加えると風味が増す。冷めてもおいしく、腹持ちがよく、おにぎりとしてもお勧め。
「鯛の昆布〆」は、「めでたい」と「よろこぶ」に掛けている。昆布に鯛の切り身、菜の花をはさみ一晩置くだけで、昆布のうまみ、塩気が鯛に移り、調味料なしで食べられる。頭に近い部分は薄いそぎ切りにし、菜の花をまく。真ん中は厚めのそぎ切りにし、桜の花の塩漬けをのせる。尾に近い部分は細切りにし、昆布〆に使った昆布を細切りにしてあえ、盛り付ける。
「紅白のしんじょ椀」は、イカとエビそれぞれをすり、団子状にしたもの。魚介類のうまみがたっぷり詰まったお椀。今回は山芋を加え、ふんわりとした食感にした。
「器を上品なものにしたり、盛り付けをきれいにしたりすると、お祝いの食卓になります。炊飯器のお赤飯は簡単にできるので、さまざまな場面で作ってください」と河合さんは勧めた。
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★鯛の昆布〆
《主な材料》(4人分)
▽刺し身用の鯛さく 2枚
▽昆布(羅臼など) 25×3センチ・3枚
▽菜の花 8本
▽桜の花塩漬け 8個
▽酢 適宜
《作り方》
<1>菜の花は下の硬い部分を切り落とし、塩ゆでして冷水に取り、絞っておく。
<2>昆布は表面を酢で拭き、湿らしておく。
<3>昆布に鯛を1枚のせ、空いたスペースに菜の花の半量を並べ、昆布を重ね、もう一枚の鯛と残った菜の花をのせ、最後にまた昆布をのせる。皿などで軽い重しをし、冷蔵庫で一晩寝かせる。
<4>鯛を切り分け、菜の花、(塩抜きした)桜の花、昆布の細切りと合わせ、それぞれ盛りつける。
★簡単お赤飯
《主な材料》(4~5人分)
▽ささげ(なければ小豆)30グラム
▽もち米、うるち米 各1.5合
▽ゴマ塩 適宜
▽好みで赤ワイン 大さじ3
《作り方》
<1>米はといで水に30~45分浸し、ザルに上げて水気を切る。
<2>ささげは水1カップと鍋にかけ、ひと煮立ちしたら煮汁を捨て、水を切る。鍋に水3カップと一緒に入れ、約1時間煮る。煮汁と豆に分け、煮汁は冷ます。
<3>(1)の米に(2)の煮汁と好みで赤ワインを合わせ、炊飯器で3合の水加減にして炊く。
<4>炊き上がったら(2)の豆を加え、そのまま20分蒸らして全体を混ぜる。
<5>器に盛り、ゴマ塩を添える。
★紅白のしんじょ椀
《主な材料》(4人分)
▽エビ 5匹(100グラム)
▽ヤリイカ 1杯(120グラム)
▽山芋すりおろし 大さじ2
▽カツオだし カップ4
▽三つ葉 適宜
▽酒、薄口しょうゆ 各大さじ1
《作り方》
<1>エビは殻をむき、背ワタを取る。ヤリイカは内臓、骨、皮を除く。
<2>エビ、イカをそれぞれフードプロセッサーにかけ、塩少々と山芋すりおろし半量をそれぞれ混ぜる。
<3>三つ葉は下ゆでし、結んでおく。
<4>だしに酒、しょうゆを加え火にかけ、煮立ったら(2)を形を整えて入れる。
<5>器に盛って(3)をあしらう。
http://mainichi.jp/life/food/news/20120320ddm013100031000c.html