使用済みの使い捨てカイロを活用し、海水の水質改善につなげようという取り組みが粟島浦村で行われている。カイロに含まれる鉄分が海中にミネラルを供給するとされ、関係者は漁場改善につながると期待を寄せる。
活動を行っているのは粟島浦漁協と、市民団体「粟島ドリームランド協議会」の2団体。同協議会によると、粟島の海では近年、魚や貝の餌場となる藻場が少なくなる「磯焼け」と呼ばれる減少が起こり、年々漁獲量が減少。94年に4・1トンあったアワビの漁獲量は、09年には0・3トンにまで減ったという。
磯焼けにはさまざまな原因があるが、その一つとして山から川を通じて海に流れ出る鉄分の減少が考えられるという。危機感を募らせた漁協は、使い捨てカイロによる改善策に目を付けた。カイロに含まれる鉄分は、山中の腐葉土に含まれるフルボ酸と呼ばれるミネラルと似ており、カイロを海に散布する取り組みは佐賀県や神奈川県でも行われているという。
09年秋から各地に呼びかけて昨年10月までに約4トンのカイロが集まった。カイロは網に入れられて漁場に流れ込む川や沢に浸し、またカイロの中身をクエン酸と混ぜて団子にして海底に沈めるなどした。
同協議会の西畑良俊さん(31)は「これまで生えなかった場所に藻が生えたという声も聞く。引き続き、カイロの収集を続けて経過を見守りたい」と手応えを語る。また一度散布されたカイロは回収され、農地の肥料として再利用することも可能だという。
両団体では現在も使用済みカイロの提供を呼びかけている。問い合わせや使用済みカイロの送付先は粟島浦漁協(0254・55・2121)。
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