空気が乾燥する冬、唇の荒れに悩む人は多い。リップクリームが手放せない季節だが、なかなか治らない場合は病気の可能性もある。正しいケアの方法を専門医に聞いた。
◆悪化なら皮膚科へ
「唇の粘膜はとても薄く、外部からの刺激を受けやすい」と話すのは、女性の皮膚トラブルに詳しいおおた皮膚科(埼玉県所沢市)の太田みどり院長。唇には汗腺がなく、皮脂腺もごくわずか。常に外気にさらされているため、湿度が下がると乾燥しやすくなる。
市販のリップクリームを塗ってもすぐ乾いたり、皮むけやひびが治らなかったりする場合は注意が必要だ。「人によってはリップクリームの成分にかぶれてしまい、荒れが治らない場合がある。歯磨き粉や口紅、義歯などが原因にあることもある」。荒れがひどくなったり、すぐに改善しないなら口唇炎を起こしている可能性があり、「軽く見ずに皮膚科を受診した方がいい」という。
では、どのようなケアをすればいいのか。乾燥が気になる程度なら、自分に合ったリップクリームをこまめに塗る。昼は紫外線を防ぐもの、夜は水分不足を補うため保湿を重視したものなどと使い分けるといい。
また、わずかな油分も唾液と一緒に蒸発してしまうため、なめるのはNG。むけかけた皮も手で引っ張らず、その部分だけを優しく切り取る。「唇は皮膚より、外部の色素や成分などを吸収しやすい。自己流のはちみつラップパックなどでトラブルが起きないとは言えない」と太田院長。荒れが気になるときは寝るときもマスクをするなどして、乾燥を防ぐのがおすすめという。
皮膚科では生活習慣やアレルギーなどから原因を調べるとともに、唇に優しいワセリンなどを処方してくれる。
◆歯科医でエステ
唇ケアのサービスを行う歯科医院も増えている。西麻布デンタルクリニック(東京都港区)では、3年前から「オーラルスパ&リップエステ」を始めた。同院の大越聡一郎院長は「歯だけではなく、口もと全体の印象を気にする患者さんが増え、唇のケアもしたいと考えた」と話す。
ジェルを使った歯肉マッサージの後、クレンジング、角質取り、唇のマッサージとパックで20分。全てを歯科衛生士が行い、2625円と比較的お手軽。唇に潤いが戻り、弾力アップも期待できるため、特に女性に好評という。
大越院長は「歯科医というと『痛い』というイメージでまだまだ敷居が高いが、口もとに自信を持てれば笑顔になれる。気軽に歯科医を利用してほしい」と話している。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/medical/snk20120117120.html