CDやパソコンからダウンロードして手軽に音楽を楽しめる時代に、自分でプレーヤーにレコードをかけて聴く音楽鑑賞コーナーが新潟県長岡市の学びと交流の施設「まちなかキャンパス長岡」(同市大手通)にお目見えした。レコードも家庭で死蔵しているものを募集したところ、1500枚以上が集まった。まだまだ認知度が低く、利用者は少ないが、担当者は「懐かしいレコードの音を自分の耳と体で味わってほしい」と呼びかけている。
4階交流広場のオープンスペースの一角に設けられた音楽鑑賞コーナーは、スピーカーと振動ユニットを組み込んだ体感音響システムが付いた椅子が2人分ある。レコードを回し、椅子に深く腰をかけると、耳元で静かに音楽が鳴り始め、音による振動が体の中を駆け抜けていった。
「今では過去のものになったレコードにあえてこだわり、スポットライトを当てたかった」とまちなかキャンパスの星野康也主任。6月に市政だよりで自宅で眠っているレコードの寄贈を呼びかけ、8月にはチラシ2000枚を配布、PRした。
その結果、まちなかキャンパスがオープンした9月3日には約400枚のレコードが集まり、音楽鑑賞コーナーもスタート。その後もレコードは増え続け、新潟市内の女性は「活用できるなら」と、処分に困っていたというレコード約150枚を寄贈した。
集まったレコードはクラシック、交響曲、日本のロック&ポップスから浪曲、落語まで22のジャンルに分類。レコードを聴く人は、1枚ずつタイトル、アーティスト名、EP・LP別、歌詞カードの有無などが記載された目録からレコードを選んで申し込む。自分のレコードを持ち込んで聴くこともできる。
同市は今後もレコードの募集を続けるとともに、現在は約20枚しかないレコードジャケットのディスプレーを拡充し、今年度中にジャケットを見ながらレコードを選べるようにする方針だ。
まちなかキャンパスの梶山定明室長は「レコードのアナログ的な音をレコードを知らない若い世代にも体験してほしい。ジャケットもレコードの魅力の1つ。中高年の方は青春時代の懐かしいレコードも見つかるでしょう。聴かなくなったレコードがあれば寄贈していただき、さらにコーナーを充実させていきたい」と話している。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111206/ngt11120618490002-n3.htm