[BAGHPAT(インド) 25日 ロイター] 国連の推計によると、世界の人口は10月31日に70億人を超える。人類はこれまで経験したことのない人口密集時代に突入するが、急速な都市化や環境の悪化、医療や教育への需要急増、資源や雇用の配分など、70億人突破は世界がこれから不穏な時代を迎えることを暗示しているとの指摘もある。
国連人口基金(UNFPA)のババトゥンデ・オショティメイン事務局長は、ロイターの取材に「世界には人口が減少している地域があり、そこでは生産性などが懸念されている。そして人口が急速に増えている場所があり、そうした国の多くは移民や貧困、食の安全保障、水の管理や気候変動など、われわれが注意を喚起すべき問題を抱えている」と述べた。
世界の人口は過去50年で2倍以上に増え、資源はかつてないほど需給がひっ迫している。向こう50年でさらに20億─30億人が増えると予想されるなか、差し迫った課題は、基本的生活必需品をどう確保していくかだ。
<資源の争奪>
水の利用量は2007年から2025年にかけて、発展途上国で50%、先進国で18%増える見通し。しかし、米コロラド州を拠点とする水研究基金のロブ・レナー事務局長によると「地球上の水の97.5%は塩水で、残る2.5%の真水の3分の2は凍結しており」、実際に使える水はそう多くないという。
また、世界の多くの地域では、栄養ある食物が不足している。世界銀行によると、飢餓人口は9億2500万人で、1995年からの食品価格上昇も飢えをもたらす一因となっている。国連食糧農業機関(FAO)は、2050年までにさらに20億人増えるとみられる世界の人口を満たすには、食糧生産を70%増やさなくてはならないと指摘している。
食糧生産を目標通り増やすに当たっては、気候変動が最も大きな障害になる可能性がある。気温上昇と干ばつで干上がる農地がある一方、豪雨や暴風雨で農業が水害を受ける場合もある。しかし、各国が気候変動問題にどう対処してきたかを見れば、世界規模で長期的な課題に取り組む難しさが如実に分かる。何をなすべきかは明らかであるにもかかわらず、国連の気候変動会議はこう着状態に陥っている。
<急速な都市化>
また専門家らは、世界各地で進む都市化による人口構造上の不均衡も深刻な問題だと指摘する。中国・北京の人口は現在約2000万人で、世界で13番目に人口の多い都市となっている。貧しい地方部からの移民流入で過去10年で倍増した格好だが、そうした傾向は何も中国だけの問題ではない。アフリカやアジア、南米でも、干ばつや洪水など自然災害から逃れてきた農民や、より良い雇用感環境を求める人が都市部に押し寄せている。
1950年には、世界の都市部人口は約7億3000万人だった。国連経済社会局(UNDESA)が2010年3月に発表した報告書によると、都市部人口は2009年までには約35億人に膨れ上がり、向こう40年では63億人に達するという。
<90億人で頭打ち>
一方、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は、世界全体で約2.5だが、富裕国ではこの数字がすでに急低下している。各種の予想に幅はあるものの、多くの研究者は、世界人口が2070年前後に約90億人で頭打ちし、その後は恐らく急速に減少に転じると予想している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111026-00000197-reu-int