台風12号による土砂災害が相次いだ奈良、和歌山両県で9日朝にかけて予想された激しい雨は、雨雲が発達せず大雨には至らなかった。しかし土砂崩れで川がせき止められた「土砂ダム」が決壊する危険は9日も変わらず、国土交通省や関係自治体は下流域に出した避難指示を継続、厳戒態勢を続けている。
近畿地方整備局によると、決壊の可能性がある土砂ダム4カ所(奈良県3カ所、和歌山県1カ所)のうち、奈良県五條市大塔町赤谷地区のダムは過去の土砂ダムでは例のない規模の高さ120メートルに達し、既に約1300万立方メートルの水がたまっている。水面から堤の高さまで6.4メートルしかなく、60ミリの雨で堤を乗り越え、土石流を起こす危険がある。この場合の被害は20キロ下流まで及ぶとみられる。
大阪管区気象台によると、奈良、和歌山両県で、10日午前6時までの24時間に50ミリ程度の雨が予想され、9日夜も注意が必要。奈良県十津川村と五條市は9日午前、土砂ダムの下流域にある4地区(199世帯373人)に出した避難指示を当面の間、継続する方針を確認。和歌山県田辺市も避難指示を継続し、対象の19世帯30人は地区外に避難している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110909-00000047-mai-soci