◇第1弾は長岡ホラー
米・ハリウッドなど海外で活動する県内出身の映画プロデューサーや監督らが、長岡市などで映画を撮影する計画を進めている。第1弾はホラー映画で、新潟とハリウッドをつないで継続的に映画製作を続けていく方針だ。世界に向けて発信する「メード・イン・新潟」は、日本映画の新しい風として注目を集めそうだ。【岡村昌彦】
プロデューサーは、ハリウッドを拠点にしている横浜市出身の市川誠さん(35)と長岡市出身で単身米国に渡り活動を続ける渡部翔子さん(28)。渡部さんは米国で撮影した短編映画「Anne Jennings(アンジェニングス)」が国内外の映画祭で受賞するなど高い評価を得ている。監督は新潟市出身で、現在マレーシアを拠点に短編映画などを手掛ける細井尊人(たかと)さん(33)。今年11月には日本人とマレーシア人が共演する長編映画を撮影する予定。
今回の計画は、半年前に市川さんと細井さんが知り合い、ホラー映画の企画を考えたのがきっかけ。撮影には日本の自然の風景を取り入れたいと考え、渡部さんに相談したところ、長岡を推薦されたという。
市川さんによると、米国では、東日本大震災による福島第1原発事故の影響で、日本食が敬遠されるなどの現象が起きているという。市川さんは「米国では日本の現状はかなり厳しく報道されている。低予算映画でも、新潟から世界に目を向けている姿を見てもらい、日本の良さを伝えていきたい。アイデアを生かし、世界で売れる映画を作りたい」と語る。
細井さんは「映画を作ろうにも日本では若手にチャンスが少ない。海外に活路を見いだすと、日本人として何が表現できるか、が一層問われる。世界に目を向けつつ国内に自分のルーツを模索したい」と指摘し、「新潟とハリウッドの共同製作はモデルケースとして面白い。成功例として後につなげたい」と意欲を見せる。
ホラー映画は冬の長岡市などを舞台に、来年1月に10日間で撮影する予定。タイトルは「Noise(ノイズ)」で、音をキーワードに不可解な猟奇殺人を描く。シリーズ化を目指しており、米国での撮影も検討している。予算は500万~1000万円で、上映時間は75分。来年5月ごろ完成披露の予定。
他には、雪女をモチーフにした作品と、酒蔵を舞台にした作品が候補に挙がっており、いずれも長岡など県内の冬景色を意識している。
撮影は新潟市の「中央映画社」も参画する。ハリウッドの撮影手法を取り入れ、県内各地のフィルムコミッションや、映像を専攻する学生らの協力も呼び掛ける予定。また、低予算のため協力者も募集している。
問い合わせは、中央映画社(025・285・8126)。
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