高濃度の放射性セシウムが検出された稲わらが、肉用牛に餌として与えられていた問題が深刻さを増している。
汚染の疑いのある福島県産の牛肉が新潟市や上越市で消費されたのに続き、18日には長岡市の畜産農家が宮城県産の汚染稲わらを与えた可能性がある肉用牛を出荷していたことも発覚。“ダブルパンチ”に見舞われた県は、連休明けの19日も対応に追われた。スーパーなど小売業者も独自調査に乗り出し、緊迫した状態だ。事態を重くみた泉田裕彦知事はこの日、原発事故を起こした東京電力に損害賠償請求する考えを表明した。
肉用牛をめぐる食の安全が脅かされていることに対し、泉田知事は記者団に「餌となる稲わらが使えず、出荷も自粛。価格下落なども損害だ」と怒りをぶちまけた。県産牛への風評被害にも配慮し、JA新潟とともに東電に損害賠償を請求する考えにも言及した。
問題となった福島県産牛肉の放射性セシウム濃度は、これまでのところ、国の暫定基準値を下回っている。しかし、汚染稲わらは、使用した恐れがある県内畜産農家10数戸について詳細を把握できておらず、県は購入時期の確認や稲わらの放射性物質検査を急ぐ考えだ。
県内や長野県などでスーパー66店舗を展開する原信ナルスホールディングスには顧客からの問い合わせが殺到。「独自調査を始めた。今後対応策を検討する」と広報担当者。一方、専用窓口を設けた新潟市保健所には初日の17日から19日までに45件の相談が寄せられた。
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