引退からの再起、ママさん飛行士…。サッカー女子W杯で初優勝した「なでしこジャパン」にかぎらず、日本の女性たちは逆境をはね返し、世界の第一線で活躍してきた。平坦(へいたん)ではない挑戦への道のりで笑顔を見せる“女子力”に日本は希望をもらってきた。
引退、結婚というブランクに加え、40歳の年齢ながらテニスの第一線で活躍しているのはクルム伊達公子選手。6月にウィンブルドン選手権で、過去5度の優勝を誇る米国のビーナス・ウィリアムズ選手相手に接戦の末に惜敗した。
「若い選手たちの刺激になればいい」と語った平成20年4月の現役復帰会見から約3年。大舞台のセンターコートで観客の声援、世界の注目を集めていた。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士、山崎直子さん(40)は昨年4月、“ママさん飛行士”としてスペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗した。11年に飛行士候補者に選ばれ、訓練と子育ての両立に試行錯誤した末の旅立ちだった。
先月11日には仙台市などを訪れ、被災者に「宇宙に行くまで10年以上かかり、いつ宇宙に行けるのかと不安な気持ちで訓練に励んだ」と述べた上で、「一日一日を大切にして、元気になられますよう願っています」とエールを送った。
碓井真史・新潟青陵大大学院教授(社会心理学)は近年の女性の活躍を「女性は成功により『女らしさ』を失うと恐れ、能力をセーブする傾向にあったが、最近は活躍することでこそりりしく、美しくなれるという考えから力を発揮しているのでは」と分析。
なでしこは重圧のかかる決勝のPK戦で笑顔をみせた。碓井教授は「歯を食いしばるのではなく、しなやかに逆境を乗り切った。“究極の女子力”といえ、被災地に単純な『頑張れ』のエールではなく、『なんとか切り抜けていけば明るい道がある』という希望を与えた」と話した。
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