◇定期的な水分・塩分補給を
暑い夏が近づいてきた。新潟地方気象台によると、昨夏ほどの酷暑となる可能性は低いが、平年以上の暑さになる確率は40%という。暑くなると懸念されるのが、熱中症だ。すでに今月26日までに全国で3709人、県内で50人が救急搬送されている。今年は節電対策でエアコンの使用抑制が呼びかけられているが、保健師らは熱中症のリスクが高い高齢者宅を回るなど「体に無理をしてまで節電せず、しっかり対策をとってほしい」と注意喚起をしている。
◆地域で守る
昨夏、全国で1718人が熱中症で命を落とした。県内では50人が死亡、1355人が救急搬送された。危険性が最も高いのが高齢者だ。死亡者の79%を高齢者が占める。
「節電って言っても、暑いとできないこともあるよ」。新潟市西区役所の保健師、石川玲子さん(54)は、健康教育で地域を回る中で、お年寄りのこんな声を聞いた。石川さんは「熱中症になるくらいならエアコンをつけてくださいね」と答えたという。
高齢者は若者に比べ体内の水分量が少ないうえ、暑さへの感覚、調整機能が低く、室内にいても熱中症になる危険性がある。
同区役所は昨年8月下旬、熱中症予防のための高齢者宅の訪問活動を始め、今年もすでに取り組んでいる。同区に住む65歳以上の高齢者は約3万6000人。保健師14人ですべてを回ることはできないため、特にリスクの高い、80歳以上の1人暮らし、もしくは夫婦2人暮らしを対象とした。エアコンと扇風機の適切な使用方法を教えたり、こまめな水分補給など予防法が書かれたチラシを配っている。石川さんは「お年寄りにはなかなか情報が入らない。地域のみんなで守ることが大事」と話す。
◆こまめに休憩
働く人の中でリスクが高いのは、炎天下での作業が多い建設業と、空気のこもりやすい工場内などに勤務する製造業だ。昨夏は全国で、建設業で17人、製造業で9人の死者が出た。県内では職場での熱中症発生は33件で、うち建設業が10件、製造業が7件だった。
特に今年は節電でエアコンでの暑さ対策が困難になることを踏まえ、新潟労働局は今月3日、業界団体に予防対策の実施を要請。労働者の定期的な水分・塩分補給を徹底させることや、気温が高くなる午後2~4時を中心にこまめな休憩をとらせるなどの対策を求めている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110629-00000135-mailo-l15