エイベックスほど音楽ソフトメーカーとしてのカラーがはっきりしている会社はないだろう。EXILE、東方神起、浜崎あゆみ、安室奈美恵、AAA。キャラクターはそれぞれ違うが、共通するキーワードも浮かんでくる。ダンス、メガライブ、体育会系、汗、涙…。
一方で、メジャーになったゆえの反感を買うこともある。ネットを覗けば、タイアップの批判や「日本のポップスを潰した」と音楽史を達観したような書き込みまで。しかし、それは実際、ライブに足を運んでの評価なのだろうか。
倖田來未の「ライブツアー2011~DeJavu」(12日、東京国際フォーラム・ホールA)を見た私の率直な感想は、「遊園地的サービス精神」と「元気がもらえる音楽」だった。
まだツアーが続行中なので、少しだけネタバレを書く。舞台にはアルバム「Dejavu」の世界をそのまんま装置にしたようなキャンディー工場の仕掛けがあって、抽選で舞台上のテーブルに招かれた観客4人に、キャンディーをふるまう趣向がある。
レディー・ガガばりの奇抜な衣装で、ダンサーとクールに踊り歌うシーンでは、アダルトな演出で、映像も凝っている。徹底したプロなのに親しみやすい。これが人気の秘密だろう。
MCになると京女のざっくばらんな口調で、「東京は気取ってカッコつけてマックっていうけど、やっぱりマクドやんなー」と笑いをとる。
会場で目立つのは、昔はちょっとヤンチャしてて、今はまじめに子育てしている若い家族連れ、それにカップル。女性同士もけっこういる。この感じ、ディズニーランドにも似た光景だ。
「私のコンサートのテーマはラブ」と言い、「ツアーを自粛しようかと思いましたが、被災地の方とお話しするうちに、私にできることは何かって、真剣に考えました」と、アンコールでチャリティーソングを披露しながら涙ぐむ。
ファンにとっては、どんなにメジャーになっても、“隣のくぅちゃん”なのである。
■中本裕己 夕刊フジ芸能デスク。昨年の“目劇”数はコンサート110本、映画33本、落語会12本、舞台11本。まだまだ修業が足りない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110621-00000016-ykf-ent