牛と馬の生食用食肉を取り扱っている飲食店など全国の施設のうち、47.6%の施設で厚生労働省が通知していた衛生基準を守っていなかったことが14日、厚労省が各自治体を通じて実施した緊急調査で分かった。衛生基準には違反者への罰則がなく、これまでも実効性が疑問視されていたが、今回の調査で、あらためて多くの施設で生食用食肉が適切に扱われていないことが判明した。
そのため厚労省は同日、各自治体に対し、施設に対する調査や指導の徹底を求める通知を出した。
調査は焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件を受けて実施された。厚労省の担当者は「子供や高齢者など抵抗力の弱い人は、肉の生食を控えるよう、あらためてお願いしたい」と話している。
5月7~31日にかけ、生食用食肉を取り扱っている飲食店(1万4708施設)、食肉処理業者(674施設)、食肉販売業者(4474施設)の計1万9856施設を対象に実施。加工の際は衛生管理が徹底された施設で肉の表面を削り取る「トリミング」を実施する、などと規定した基準を守っているかどうか調べた。
業種別では、飲食店で7622施設(51.8%)、食肉処理業者で236施設(35%)、食肉販売業者で1593施設(35.6%)が基準を守っていなかった。項目別では「大腸菌に関する自主検査などが実施されていない」が8036施設と最も多く、「器具の洗浄消毒に83度以上の温湯が用いられていない」が4851施設、「トリミングの際に消毒などの処理が行われていない」が3106施設だった。
調査直前に生食用食肉の提供を取りやめた施設は対象に含まれていないなど、実際にはさらに多くの施設で基準が守られていなかった可能性があるという。
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