全国のインフルエンザ定点医療機関当たりの患者報告数が、5月30日―6月5日の週に0.82となり、全国的な流行の指標となる「1.0」を昨年12月中旬以来、約半年ぶりに下回った。国立感染症研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官は、今シーズンのインフルエンザの流行の推移には、「新型」(インフルエンザ2009)、A香港型、B型、それぞれのウイルスを中心とした「3つの山」があったと指摘する。
「第1の山」は今年1月24-30日の週で、定点当たり報告数は31.88だった。この週に最も多く検出されたウイルスは「新型」で、75.7%を占めた。安井主任研究官は、「ピーク値や時期は例年通りだったが、Aソ連型やA香港型が流行する時期に『新型』が置き換わった」と分析する。
「第2の山」は3月14-20日の週で、定点当たり報告数は17.25。2月14-20日の週からA香港型の検出が最多になり、2月28日-3月6日の週から定点当たり報告数が再び増加に転じた。「第2の山」の週に最も多く検出されたウイルスはB型(48.2%)だったものの、A香港型も45.7%に上った。
「第3の山」は4月18-24日の週で、定点当たり報告数は7.56。「第2の山」ができて以降、B型を中心に定点当たり報告数が推移。この週には、B型が検出されたウイルスの54.6%を占めた。
安井主任研究官は、インフルエンザの流行にそれぞれの型による「3つの山」があったのは初めてと指摘するが、その要因については、「『新型』の発生(が影響したと)も考えられるが、はっきりとは分からない」と話している。ただ、どの型が流行しても感染対策は同じで、せきエチケットや手洗いなどを徹底すべきだとしている。
また、安井主任研究官は、「A香港型とB型の流行が遅れて始まったことが、患者の減少を鈍らせた」とも指摘する。過去5シーズンを見ると、「新型」が発生した昨シーズンも含め、遅くとも5月下旬には「1.0」を下回っていた。
■推計患者数は約1376万人
同センターによると、昨年9月6日からの「今シーズン」の推計患者数は約1376万人(6月5日現在)。例年通り、5-14歳を中心に流行した。
検出されたウイルスは「新型」が53.9%で最も多く、このほかA香港型が32.1%、B型が14.0%だった。昨シーズンに引き続き、「新型」が最も多く検出された。
安井主任研究官は豚由来の「新型」ウイルスについて、今シーズンも「ブタ型」の特徴を持ったままで、人に感染しやすい「ヒト型」への変異は海外でも報告がないとしながらも、「『ヒト型』に変異し、人の間で定着していくかどうかは、今後を見守る必要がある」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110613-00000001-cbn-soci