[ カテゴリー:食の安全 ]

<食中毒から身を守るための対策> 発生の仕組みを知る

焼き肉チェーン店で生肉による集団食中毒が発生し、食の安全に対する関心が高まっているが、高温多湿の夏場には細菌が繁殖し、食中毒が発生しやすくなる。食中毒発生の仕組みと、身を守るための対策をまとめた。

食中毒は、細菌やウイルスをはじめ、フグや毒キノコといった自然毒などが原因となるが、細菌による食中毒患者は夏本番から残暑が続く7~9月の3か月間で年間総数の半数を超える。国立感染症研究所(東京)細菌第一部長の大西真さんは、「食中毒を起こす細菌の多くは、人間の体温に近い温度が増殖しやすい環境となるため、夏場は特に注意が必要」と指摘する。

食中毒の原因となる細菌は、食べ物の中で菌が増えて毒素を放出する「毒素型」と食品に潜む菌がおなかの中で増殖して、細胞を傷つけたり、毒素を出したりする「感染型」に分類される。これらの細菌は主に家畜の腸管内に生息しており、食肉処理や調理の過程で肉の表面などに細菌が付着することが多い。

食中毒は、〈1〉細菌が潜む食品を食べて、大腸や小腸のなかで細菌が増殖〈2〉細菌が腸内の細胞に侵入したり、毒素を作り出したりすることで細胞を傷つける〈3〉腹痛や嘔吐、下痢、血便などを発症――などの流れをたどる。

O111、O157など腸管出血性大腸菌は、抵抗力の弱い子供や高齢者は重症化しやすく、血管内に入った毒素が、血液と共に腎臓や脳に運ばれ、腎不全などを引き起こす溶血性尿毒症症候群(HUS)や、脳症を発症させる危険性もあり、死亡例もある。

大阪大名誉教授の本田武司さん(細菌学)は「現時点で食中毒に対する有効な治療薬はない」と話す。第一の理由は、表面積が広い腸管内壁にある多数のヒダに入り込んだ細菌を死滅させるのが難しいこと。もう一つは、研究が続いているものの、細菌が作る毒を無毒化する薬剤がまだ開発されていないことだ。

このため、食中毒の治療は、原因菌や症状に応じて細菌の増殖を抑える抗生物質の投与や、下痢などによる脱水症状を防ぐ水分補給など、対症療法を中心とせざるを得ない。

ただし、もし下痢や吐き気など食中毒が疑わしい症状に襲われたら、できるだけ早く医療機関を受診するのが望ましいという。治療が早ければ、免疫の力も合わせて細菌の増殖をある程度抑え、深刻な症状に陥るのを防ぐ可能性が高まるからだ。

口に入る段階で、食中毒を発症させる菌の数は、サルモネラ菌は100万個、ウエルシュ菌は1億~10億個とされるが、胃酸に強い腸管出血性大腸菌はわずか100個と少ない。このため、本田さんは「身を守るには結局、細菌の感染予防が重要で、最も有効だ」と強調する。

予防には、野菜などはしっかり洗い、菌を付着させない。菌の増殖を抑えられる10度以下で保管し、調理時には75度以上で数分間加熱して菌を死滅させる。

腸管出血性大腸菌による焼き肉チェーン店での集団食中毒事件では、国の衛生基準を満たさない生の食肉の流通が問題となった。大西さんは「牛や鶏肉を生で食べることは食中毒の危険性を高める」と注意を呼びかけている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110610-00000301-yomidr-soci

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