[ カテゴリー:社会 ]

外国の“くだらない情報”こそ読んでみたい

ちきりんの“社会派”で行こう!:

GoogleマップやYouTubeなど、新しい技術&コンセプトのサービスが出てくると、ネットの世界が「おおっ」っていうくらい変わります。そういう流れの中でちきりんが期待してるのが、「自動翻訳プログラム」です。

今は検索結果に英語サイトがヒットすると、「このサイトを翻訳する」というボタンが表示されますが、試してみると、まだかなり未熟な翻訳です。完璧とは言いませんが、あれがもう少し“いい感じ”の翻訳になり、かつ、自動的に翻訳されると便利です。

ちきりんがある言葉を日本語で検索すると、自動的に世界中のサイトから関連した検索結果を探してきてくれるようになるといいなと思います。

例えば、「鶏肉 トマト レシピ」というキーワードで検索をすると、それを勝手に翻訳して、世界中から鶏肉とトマトを使ったレシピページを探してきて、かつ全部を日本語で表示してくれるというイメージです。

フランス料理、イタリア料理、中華料理にアラビア料理など、いろんな国の「鶏肉とトマトを使った料理のレシピ」が検索結果にあがってきたらすごく楽しいですよね。

もともとはフランス語とかイタリア語とか中国語のレシピサイトなんだけど、すべて自動的に翻訳され、日本語で検索結果に表示され、「へー、やっぱり鶏肉とトマトのレシピだとイタリアのサイトが多いな~」みたいなイメージです。

さらに妄想を続ければ、検索でヒットしたサイトの1つであるイタリアの田舎の主婦が書いたブログを見に行き、「鶏肉とトマトを使ったパスタ・我が家風」みたいなエントリを見つけ、掲載されている料理の写真も参考にしながらその料理を作ってみることができるでしょう。

食べてみて「おいしいじゃん!」と思った場合、そのブログのコメント欄に「初めまして、ちきりん@日本です。このレシピのパスタソースめっちゃおいしかったです~」と日本語で書き込むと、先方はそれを(最初から)イタリア語で読み、「あら、日本から感想が来たわ!」みたいな世界……。

そういう自動翻訳の世界が実現したらと夢想するとワクワクします。

●生活のあらゆる面でのつながりができる

そういうサービスができると、レシピだけではなく生活のあらゆる面でのつながりができると思うのです。例えば、「嫁 姑 愚痴」というキーワードで検索すると、世界中の嫁姑問題が一覧できるとか。

エロゲーについてブログを書いたら、ホンジェラスあたりから「“EROGE”ってナンですか?」というコメントがついたり、「海賊」というキーワードで検索したら、ソマリアの裏サイトで「海賊募集」のページが見つかったり……?

もちろん、2ちゃんねるにも世界から書き込みが殺到するし、質問サイトも世界中で質問と回答が飛び交います。

中国の“教えて●●”のWebサイトで、「胡錦涛氏と温家宝氏はどっちが偉いんですか?」と中国の中学生が質問すると、そこに世界中から「お前、中国人なのにそんなことも知らねえのかよ?」とか「入党しろよ@共産党」みたいな突っ込みが入ったりするかも。

空気を読まない米国人が、「えっ? 国家主席と首相って同一人物じゃないの?」と横やりをいれたら、ブルガリア人が「中国ってどこにあるの? Google Earthで探してるんだけどよく分かんないよ。この島か?」と質問し、「それは台湾だろ?」みたいな……ものすごく楽しそうじゃないですか?

また、若年者失業問題など、世界中で同じ問題が存在している場合、そういうキーワードで検索したら、あちこちの国のロスジェネが怒っているのが分かり、しかもその怒り方に“お国柄”が出ていたり……。

さらに、日本に留学中の韓国人学生が韓国語のブログに書いた赤裸々な日本の印象を、日本人みんなが読めて、もちろん反対(中国に留学している日本人の日本語ブログを中国の人が読むなど)もありうる世界。

●くだらない情報を翻訳することこそが大事なのかも

今の世界では、政治や経済、株価や大きなテロ事件など、重大な事件、意義のある情報しか翻訳されません。でも、ちきりんはそれ以外の“まったくくだらない情報”が訳される世界を楽しみにしているんです。

テレビや新聞が報道する海外の事件は、地震や山火事、政治や経済関連などの「マスコミが判断した大事なこと」です。でも、山火事のニュースより、上に書いたような、日々の生活の機微やその国の若者の関心、社会の状況、外からみた自分の国の印象、いろんな国のレシピやファッショントレンドなど、ありのままの姿が分かる市井の情報の方が、ちきりんには興味深いのです。

どの国にも、まったくどうでもいいようなブログやつぶやきがいっぱいあるはず。そういうのが全部、ほかの国でも普通に読めたら、世界が今よりは平和になると思いませんか?

「中国で反日活動が活発になっている」とテレビが報道していても、中国の若者のブログを読む限り、「就職活動や留学準備、金もうけ話ばっかりで、反日活動なんかに興味のない中国人もいっぱいいるじゃん?」と分かったりするわけです。

逆説的な言い方ですが、「くだらない情報を翻訳することこそが、重要なんじゃないの?」とも感じるのです。「相手の国の普通の人たちの生活」がダイレクトに見え始めたら、その方がよほど世界の相互理解は進み、平和が促進される気がします。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110530-00000047-zdn_mkt-soci

そんじゃーね。

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