◇消費生活の見直しを--麻田弘潤さん(34)
自身が僧侶を務める小千谷市の極楽寺で、中越地震(04年10月)の復興イベント「極楽パンチ」を06年から毎年開催している。テーマはエコ。「生活をエコに変えることが僕らの復興であり、新しいライフスタイルになるのではないかと思う」
龍谷大(京都市)を卒業後、本来は寺を継ぐために戻るはずだったが、僧侶に魅力を感じず、京都にとどまり介護施設で働いた。ある日、認知症のグループホームで、食器をふく91歳の女性の横に立ち、あれこれ指示をしていると、女性に「おばあちゃんは、できないのとは違うで。おにいちゃんがちゃんと言うてくれるからできるんでっせ」と言われ、ドキッとした。「できないものと思って指示していたが、人の助けがあって、人は成し遂げられるということを教えられた。自分より劣る対象として見るのではなく、サポートする対象として見る。仏教にも似たような話があって、初めて仏教の教えが身に着いた」と語る。
2年間介護施設で働いた後、寺を継ぐ決意を固め03年に帰郷。そして04年に中越地震が起きた。寺は被災者らの避難所になり、ボランティアによる炊き出しも行われた。
被災者らが仮設住宅に移った後、義援金で復興イベントをやろうという話が持ち上がった。震災直後の電気のない生活、廃棄された大量のごみ……。「これまでの消費生活を見直してみては」と、エコをテーマにした「極楽パンチ」を開くことにした。
イベントは、昼間はフリーマーケット、夜は本堂で約100本のロウソクをともした中でのライブがある。ごみを出さないため、会場では使い捨てではない、再利用するプラスティック製のコップを提供。ロウソクも寺の使用済みロウソクを集め、溶かして再生したものだ。
「再利用するコップと聞いて、最初は面倒くさいと思ったが、そのうち気持ちが変わった。そんなふうに変わる人が一人でも増えてくれたらいいな」と笑った。【岡村昌彦】
………………………………………………………………………………………………………
■人物略歴
◇あさだ・こうじゅん
1976年、小千谷市生まれ。龍谷大卒。極楽パンチは22日午前10時からフリーマーケット、午後6時からライブ。問い合わせは麻田さん(080・1447・0020)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110515-00000094-mailo-l15