◇公衆浴場と連携
裸の付き合いで親子のふれあいを--。県は今年度から、親子のコミュニケーションの場として入浴を活用する「浴育」事業を始める。銭湯など県内の公衆浴場と連携し、親子で裸の付き合いを深めたり、子どもが地域の大人から入浴マナーなどを学ぶきっかけを提供する。地域の社交場としてにぎわいをみせた銭湯も、核家族化や家庭への浴室の普及などで減少傾向にあることから、銭湯の活性化にもつながる試みだ。【石川貴教】
「浴育」とは、風呂に入ってリラックスしながら親子が会話を弾ませたり、子どもが掛け湯など入浴マナーを学ぶことで社会のルールを学ぶきっかけを与える取り組み。大手の入浴関連企業などが提唱し、徐々に広がりを見せているが、都道府県が事業として取り上げるのは全国的にも珍しいという。
県の事業では、県公衆浴場業生活衛生同業組合と「子育て応援協定」を締結。「ひょうご子育て応援の店」に登録した公衆浴場は、毎月26日(ふろの日)に大人1人につき6歳までの子ども1~3人を無料とし、入浴を通じて親子がふれあう場を提供する従来の取り組みを発展させる。
具体的には、端午の節句の菖蒲(しょうぶ)湯など、風呂にまつわる伝統行事の由来を紹介するほか、入浴による健康作りの方法や入浴マナーなどを、地域の大人たちから学べるような機会の提供も検討。今年度は県内の公衆浴場10カ所を指定し、実現可能な「浴育」のあり方などを模索する方針だ。
県内には公衆浴場が1246カ所あるが、市街地にある銭湯などは減少傾向にある。今回の「浴育」事業をきっかけに、親子で銭湯に親しむ機会の増加も見込まれる。
県少子対策課は「親子で裸の付き合いをしながら、関係を深めてもらうきっかけにしてほしい。将来的には、地域の交流につながり、銭湯の活性化にも貢献できれば」としている。
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