東日本大震災で浸水などの被害を受けた宮城県や岩手県の観光施設が、5月の大型連休を前に再開しつつある。両県では既に7割以上の宿泊施設が営業を再開し、全国から200万人以上が足を運ぶ8月の仙台七夕まつり(仙台市)の開催も決まった。一方、福島県では原発事故の影響で、県西部の会津地方でも観光産業は厳しい状況に置かれている。
仙台市の遊園地「八木山ベニーランド」は4月中旬に約1カ月ぶりに開園、約500人が来場した。福島県相馬市から来た松本親さん(37)は「地元は放射能で危ないので、子供が遊べる場所を探して来た」と娘の手を取りながら、ほっとした様子で話した。
日本三景の一つ松島では、水族館に続き、遊覧船や土産物店も順次再開する見通し。東北新幹線も29日には全線で運転を再開する。環境は整いつつあるが、県内の沿岸部は軒並み被害を受けており、松島公園管理事務所は「松島も観光できる状態ではないと思われる恐れがある。どこまで客足が戻るのか」と不安を募らせる。
岩手県では、日本三大鍾乳洞の一つ、龍泉洞(岩泉町)の地底湖が地震の影響で白く濁ったまま。「『世界有数の透明度』とうたっていただけに再開はためらわれた」(管理事務所)が、周辺の宿泊施設などへの影響を考え、27日のオープンを決めた。
一方、福島県の施設は閑古鳥が鳴く。被害が限定的だった会津地方の観光施設では、宿泊のキャンセルが相次いだ。福島県観光交流課は「原発事故も収束しておらず、観光においでくださいという雰囲気ではない」と言葉少な。沿岸に立つ水族館「アクアマリンふくしま」では津波による停電で大量の魚が死んでしまい、再開には時間がかかりそうだ。
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