妖怪博士と呼ばれた新潟県旧越路町(現長岡市)出身の哲学者で東洋大学創立者、井上円了(1858-1919年)と新潟の妖怪を紹介する企画展「博物館の怪談」が23日から県立歴史博物館(長岡市)で開かれる。妖怪に関するさまざまな文献や井上の遺品など約140点を展示し、妖怪に関する講演会や落語会も開催、妖怪と人々の関わりから見える日本人の自然観をクローズアップする。
同館によると、県内にはカッパや化け猫、人魚など多くの妖怪にまつわる伝説が伝わっている。鬼の頭領とされる大江山の酒呑童子も子供時代に燕市の国上寺で修行したと伝えられ、同地区周辺には数多くの酒呑童子伝説が残っている。
企画展では国上寺が収蔵する「酒呑童子絵巻」のほか、南魚沼市の雲洞庵に伝わる怪猫伝説の化け猫と伝わる頭蓋骨や血の付いた袈裟、妊婦の枕元に置いて寝ると安産になると言い伝えられたカッパの手とされるもの、妖怪に関する文献などを展示。妖怪が生まれた背景や世相をさぐる。
井上円了は日本で初めて妖怪を科学的に研究し、著書「妖怪学講義」を発表。自身は妖怪の存在を否定したが、明治時代に入っても信じられていた迷信を打破し、人々を啓蒙しようと妖怪を研究し、資料も収集した。いわゆる「こっくりさん」に科学的なメスを入れたのも井上とされる。井上の著書や讃を入れた幽霊画、愛用の木魚などが展示される。
同館の大楽和正主任研究員は「雷獣や鬼のミイラとされるものなど、なかなか見られないものも展示されます。井上円了の妖怪学とは何か、そして新潟の妖怪たちを多くの人に見てほしい」と話している。
同展は6月5日まで。5月8日に記念講演会「妖怪学講義」(講師は東洋大ライフデザイン学部の菊地章太教授)▽同29日に同「予言をする妖怪-妖怪の民俗文化」(国立歴史民俗博物館の常光徹教授)▽同15日に落語会(三遊亭憤楽)=いずれも午後1時半開会、定員150人、要申し込み=が行われる。観覧料は一般700円、高・大学生500円、中学生以下無料。問い合わせは、同館0258・47・6130。
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