震災の避難者が約1万4000人に上る宮城県石巻市で、避難所となっている小中学校の授業再開が21日に迫る中、避難住民から「学校にとどまりたい」と訴える声が上がっている。市は避難所を集約し、市外への2次避難を進める考えだが、避難所にやっと慣れた住民には「仮設住宅に入れるまで動きたくない」との思いが強い。
約580人が避難する門脇中では授業再開を視野に、3、4階の教室にいる避難者を体育館や特別教室に移した。既に体育館は満杯。さらに1、2階の教室も空けようとすると、約150人があふれる計算だ。
行政側から対応策は示されず、現場は戸惑う。避難所のリーダーの一人、草島真人さん(51)は「今すぐ出て行く当てがない人もいる。身の振り方を考えるには、時間がかかる」と言う。
約370人が生活する大街道小でも不安が広がる。甲斐宮子さん(69)は「避難者同士ようやく気心が知れてきた。移動で一からやり直しになるのは苦痛。生徒に迷惑が及ばない範囲で学校にとどまりたい」と訴える。
市は、新たな生活環境になじめなかった場合に石巻に戻ることができる「お試し制度」を取り入れた2次避難を勧める一方、避難先の再編案の策定を急ぐ。市は「体育館や他校への移動をお願いすることになりそうだ」と理解を求めている。
だが、市が避難所生活を送る2万7172人を対象に行った意向調査(3月29日~4月6日)では、現在の避難所に残りたいと答えた人が67.7%を占めた。2次避難を希望しない人もほぼ同じ68.0%に上った。
市内の避難所間で情報交換する「避難所ネットワーク会議」の松村善行会長(67)は「学校を出た後の受け入れ先が不明では2次避難を検討しようもない。市は早急に選択肢を提示してほしい」と要望する。
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