東日本大震災からの復興を目指す宮城県気仙沼市の姿をドキュメンタリー映像に残そうと、被災地の撮影を続けるカナダ人女性がいる。
来日して20年間、日本の漁村の研究を続けてきた国連大学の研究者、アン・マクドナルドさん(45)。変わり果てた“第二の故郷”の姿に心を痛めながらも、「再起しようとする人間の力強さを記録に残したい」と漁業関係者にインタビューを重ねている。
「まるで戦場のよう」。今月12日、いまだに水の引かないJR南気仙沼駅近くの広場で、マクドナルドさんは立ちつくした。魚と重油の混じったような臭いが満ち、路肩に幾重にも積まれたがれきが散乱する。「私にとって大切な場所。惨状を見るのは悲しいが、それでも目を背けてはいけないと思う」
現在は、環境問題を研究する国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長を務めるマクドナルドさんが来日したのは1991年。全国の漁村を巡り、そこに生きる人々の暮らしを研究してきた。これまで訪れたのは北海道から沖縄県まで2000か所以上。「自然の脅威に敬意を払いながら、海との共存を続ける漁民の強さにひかれた」という。今は金沢市に住むが、97年~2008年まで宮城県で暮らしていた。
今回の震災では、漁村研究の中で知り合った友人も安否が分からなくなっている。「漁村や漁港の活気に満ちた雰囲気が好きだった」というマクドナルドさん。それでも、「ここからどう復興していくのか伝えることで、内外に支援を訴えられるのでは」と撮影を決めた。
撮影場所は、カツオやサンマの水揚げが日本トップクラスの気仙沼。最初の撮影となる今回は12日から3日間、被災したカキ養殖や水産加工会社の映像を撮影すると共に、漁協組合長や観光業者、商工会議所などにインタビューした。
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