04年のインド洋大津波で母を失ったインドネシア人留学生が、東日本大震災で遺児となった子供たちへの支援を始めた。大津波で希望を失った時、インドネシアを訪問した阪神大震災の遺児に「一人じゃないよ」と励まされた。「今度は自分が力になりたい」と話す。
この留学生は、早稲田大国際教養学部(東京都新宿区)に通うラフマットさん(21)。死者・行方不明者20万人以上のインド洋大津波で最も被害が大きかったアチェ州の出身で、海岸から約2キロの場所にあった自宅は津波で流された。学校にいたラフマットさんは難を逃れたが、母は自宅のがれきの下から遺体で見つかった。6人兄弟の長兄も車だけが見つかり、行方不明になっている。
被災後は勉強が手に付かなくなり、将来への夢も描けなくなった。しかし、アチェ州を訪問した「あしなが育英会」の阪神大震災の遺児たちに出会い、つらい体験を語り合った。05~07年には、あしなが育英会の招きで東京を訪問し、ウガンダ出身のエイズ遺児を見て留学という道があることを知った。その後、父も病気で失ったが、09年からあしなが育英会の奨学金をもらって留学し、将来は社会のリーダーになることを目指している。
留学した日本で、また大津波が起きた。東日本大震災の被害を伝える映像を見て「またあんなことが起きるなんて」と言葉を失い、6年前の惨状が目に浮かんだ。親を亡くした子供たちが心配になり、3月下旬には都内や神戸市であしなが育英会が行った街頭募金活動に参加。今月11日には、仙台市の事務所開所式にも出席した。
自分の経験を語ることで、少しでも遺児となった子供たちの支えになりたいと願うラフマットさん。「諦めないで。世界中の人があなたたちのことを思っているから」と伝えたいと思っている。【小泉大士】
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