明日が、今日より、ちょっとでもいい日になりますように--。東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県山元町に開局した災害臨時FM局に、阪神大震災の被災地である兵庫県西宮市のコミュニティーFM局から1通のメールが届いた。メッセージは今月上旬、放送で流され、町民に伝わった。遠く離れた被災地同士が、ラジオを通じてつながりを深めている。
山元町の臨時FM局は「りんごラジオ」(80.7メガヘルツ)で、東北放送の元アナウンサー、高橋厚さん(68)らが開局に尽力した。高橋さんと親交がある「FMながおか」(新潟県長岡市)から機材などの協力を得て、3月21日に放送を開始した。局名の「りんご」は、地元の名産と、戦後間もない日本を元気づけた「リンゴの唄」にちなんだ。午前7時~午後7時ごろまで、学校や公民館からのリポートや安否確認など、町民向けの情報を流している。
同月30日夜、西宮コミュニティ放送(愛称・さくらFM、78.7メガヘルツ)でパーソナリティーを務める竹之内由加さん(51)からメールが届いた。さくらFMは、「市民にとって役立つ情報がすぐに届けられる放送局を」という市民運動から、阪神大震災の3年後(98年)に開局した。
私たちは、皆さんの背負われた物を、代わって持って差し上げることはできません。でも、でも、心の底から、思いっきり、励ましたい、エールを送り続けたいと願ってやみません。みんな、ついています。日本全国、世界各国、みんなみんな、ついています。
約1800字に及ぶメールの大半は数日後、放送で読まれた。高橋さんは「大災害を体験している(FM)局からいただいたメッセージは説得力がある。心のこもったメッセージは本当にありがたい」と感謝した。
竹之内さんは、「時期尚早と思ったが、『同じコミュニティーFM局としてエールを送りたい』と無我夢中だった」と話す。「今後も、細くても長くつながりを持ちたい」【後藤豪】
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