東日本大震災の被災地で、被害を受けた家の片付けを始める人が増え、ボランティアへのニーズが高まっている。被災地の外から「支援したい」という希望者も多いが、被害の大きかった地域ではガソリンや食料などが不足し、県外からは受け付けていないところがほとんど。人手はほしいのに受け入れられないジレンマの中、地元のボランティアには疲れもにじむ。
津波で川から泥があふれ出した宮城県東松島市の赤井地区。26日午後、ひとり暮らしの女性(52)の家に、5人のボランティアが訪れた。4人は地元の若者たちだ。
10センチほど積もった泥が家の周囲を覆い、家の中で倒れた家具は泥まみれ。泥をよけて通路を作り、水を吸った畳や家具を運び出す。2時間ほどでようやく1階の床が見える程度になった。「1人では無理。なんと感謝していいか」。女性は涙を浮かべ、頭を深々と下げた。
同市の災害ボランティアセンターには、家の片付けを手伝ってほしいといった要望が相次ぎ、順番待ちの状態だ。それでも、ホームページには「現在は市内のボランティアで対応しています」の文字。ガソリンや食料を持参した人だけ、受け入れているという。「人手はほしいけど、地元の生活を圧迫しては意味がない」と、スタッフの一人は話す。
宮城県災害ボランティアセンターによると、27日現在、14市町で災害ボランティアセンターができたが、県外から受け入れているところは少ない。首都圏などからの問い合わせは多いが、「ガソリンや食料を自分で調達して」と強調している。
受け入れ側の調整力にも限界がある。
当初、県外からも受け付けていた名取市では、ボランティア希望者が増えたため、25日から県内限定に切り替えた。希望者が多すぎると、調整ができなくなってしまうためだ。「今はバランスが取れている」と我妻諭・災害ボランティアセンター長は言う。
http://www.asahi.com/national/update/0327/TKY201103270196.html