海外事業者の鉄サプリメントの長期使用により鉄過剰症を発症
2024年2月、「医師からの事故情報受付窓口【ドクターメール箱】」に、インターネット通信販売で購入した、海外事業者が製造・販売する「鉄サプリメント※」の使用により鉄過剰症等を発症した、という事故情報が2件寄せられました。いずれの事例も、日本人の一日の推奨量以上の鉄を約1年以上の長期間摂取していました。
鉄は人体に必要なミネラルの一種で、鉄が不足すると、鉄欠乏性貧血になるおそれがあるとされていますが、他方で、長期にわたる鉄サプリメントの利用や食事からの過剰な鉄摂取が健康障害を起こす可能性は否定できないとされています。
そこで、海外事業者が製造・販売する鉄サプリメント5銘柄の鉄含有量と表示の調査を行い、消費者に情報提供することとしました。
※ 鉄を摂取することを目的とした錠剤・カプセル状の健康食品
医師からの事故情報受付窓口に寄せられた事故情報
・鉄サプリメントにより一日54~108mgの鉄を約3年間摂取した結果、続発性鉄過剰症と診断された。
・鉄サプリメントにより一日36mgの鉄を約11カ月摂取した結果、鉄過剰状態と肝機能障害が疑われた。
テスト結果
・テスト対象銘柄の一日当たりの摂取目安量に含まれる鉄量及びパッケージに表示された鉄量は、日本人の食事摂取基準に示された推奨量を大きく超えるものでした。
・テスト対象銘柄には米国の一日摂取量に占める割合が表示されていましたが、この数値を目安に摂取すると、過剰摂取につながるおそれがあると考えられました。
・通信販売サイトには、商品名や一日当たりの摂取目安量に含まれる鉄量は日本語で記載されていましたが、一部のサイトでは、注意表示は商品パッケージの画像のみが表示されていました。
消費者へのアドバイス
・海外事業者が製造・販売する鉄サプリメントには、日本人の食事摂取基準に示された推奨量を大きく超える量の鉄を含む場合があり、長期間使用することで過剰摂取につながる可能性があります。成分量や注意表示をよく確認し、過剰摂取にならないように注意しましょう。
・健康食品を使用していて身体に異常が生じた場合は、使用を中止し、速やかに医療機関を受診しましょう。
インターネットショッピングモール運営事業者への協力依頼
・海外事業者が製造・販売する鉄サプリメントによる事故の未然防止のため、注意表示を日本語で記載するとともに、購入者に対し、長期間の過剰摂取に関する注意喚起や啓発を行う等の協力を依頼します。
行政への要望
・海外事業者が製造・販売する鉄サプリメントによる事故の未然防止のため、成分量や注意表示等をよく確認し、長期間、過剰摂取することのないよう、消費者に周知啓発を行うよう要望します。
要望先
・消費者庁(法人番号5000012010024)
協力依頼先
・アマゾンジャパン合同会社(法人番号3040001028447)
・LINEヤフー株式会社(法人番号4010401039979)
・楽天グループ株式会社(法人番号9010701020592)
情報提供先
・内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
・内閣府 食品安全委員会(法人番号2000012010019)
・厚生労働省(法人番号6000012070001)
・国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(法人番号9120905002657)
・公益財団法人日本健康・栄養食品協会(法人番号6011105004953)
・公益社団法人日本医師会(法人番号5010005004635)
・公益社団法人日本栄養士会(法人番号7010005003552)
・公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
・公益社団法人日本薬剤師会(法人番号3011105005376)
・一般社団法人健康食品産業協議会(法人番号1011105007192)
・一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(法人番号1010405018940)
・一般社団法人日本臨床栄養協会(法人番号7013205001466)
・オンラインマーケットプレイス協議会(法人番号なし)
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165