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糖尿病の死亡リスク、夜明けのコーヒーで増 米国民健康・栄養調査の糖尿病患者5,000例超の解析

糖尿病の死亡リスク、夜明けのコーヒーで増 米国民健康・栄養調査の糖尿病患者5,000例超の解析

中国・Harbin Medical UniversityのRuiming Yang氏らは、2003~14年の米国民健康・栄養調査(NHANES)参加者5,378例のデータを用い、糖尿病患者におけるコーヒーおよび茶(紅茶を含む茶全般)の摂取タイミングと死亡リスクとの関連を検討。その結果、全死亡、心血管疾患(CVD)および心疾患による死亡のリスクはコーヒーの非摂取群と比べて早朝(午前5~8時)の摂取群で上昇する一方、朝~昼(午前8時~正午)の摂取群では低下することが示されたとBMC Med( 2024;22:526 )に発表した(関連記事「 コーヒー1日2杯以上で高血圧CVD死2倍 」)。

茶は昼前の摂取のみCVD死リスク減
糖尿病の死亡リスク、夜明けのコーヒーで増 米国民健康・栄養調査の糖尿病患者5,000例超の解析

解析対象は、2003~14年のNHANESに参加した18歳以上の糖尿病患者5,378例。コーヒーおよび茶の摂取タイミングを、夜明け~朝(午前5~8時)、朝~正午(午前8時~昼12時)、正午~夕方(昼12時~午後6時)、夕方~夜明け(午後6時~午前5時)に分け、全死亡、CVD、心疾患、脳卒中、糖尿病による死亡との関連を検討した。

4万7,361人・年(中央値8.53年、最長17.0年)の追跡期間中に1,639例が死亡し、死因はCVDが731例、心疾患が467例、脳卒中が99例、糖尿病が462例だった。

年齢、性、生活習慣、併存疾患などの交絡因子を調整後のCox比例ハザード回帰モデルによる解析の結果、夜明け~朝にコーヒーを摂取しなかった群と比べて摂取した群で全死亡〔ハザード比(HR)1.25、95%CI 1.05~1.50、P=0.014〕、CVD(同1.41、1.07~1.86、P=0.014)、心疾患(同1.47、1.05~2.07、P=0.025)、糖尿病(同1.50、1.10~2.04、P=0.011)による死亡のリスクが有意に高かった。

一方、朝~正午にコーヒーを摂取しなかった群と比べて摂取した群で全死亡(HR 0.80、95%CI 0.69~0.92、P=0.002)、CVD(同0.79、0.63~0.99、P=0.039)、心疾患(同0.70、0.52~0.94、P=0.017)による死亡のリスクが有意に低かった。また、朝~正午に茶を摂取しなかった群と比べて摂取した群でCVD死のリスクが有意に低かった(同0.62、0.44~0.87、P=0.005)。

カフェインが耐糖能や血圧に影響する可能性
Yang氏らは「今回の研究では、コーヒー・茶の種類(紅茶、緑茶、ウーロン茶など)は調査しておらず、1型および2型糖尿病を区別していない」と研究の限界を指摘した上で、「糖尿病患者における全死亡、CVD死および心疾患死のリスクは、夜明け~朝のコーヒー摂取で上昇するが、朝~正午の摂取では低下することが示された」と結論している。

そのメカニズムについては、「夜明け~朝の耐糖能は視交叉上核(SCN)のGABA作動性ニューロンの活性化によって低下することが動物実験で示されており、カフェインはその活性化を引き起こすと考えられる。そのため、夜明け~朝のコーヒー摂取は糖尿病患者の耐糖能異常を悪化させ、早朝に血糖値が上昇する暁現象(dawnphenomenon)を強めて最終的に長期生存に悪影響を及ぼす可能性がある。また、糖尿病患者では血圧上昇などを引き起こすグルココルチコイドの循環血中濃度が夜明け~朝に上昇する傾向がある。カフェインは視床下部・下垂体・副腎軸を活性化させグルココルチコイド産生を促進するため、夜明け~朝のコーヒー摂取で血圧コントロールが悪化するおそれがある」などと考察している。(医学翻訳者/執筆者・太田敦子)

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