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“ヒートショック”に注意!死者数は約10年で1.5倍に増加 快適な風呂を悲劇に変えないために…救急救命医に聞いた3つの対策

“ヒートショック”に注意!死者数は約10年で1.5倍に増加 快適な風呂を悲劇に変えないために…救急救命医に聞いた3つの対策

東京都内の自宅で亡くなった歌手で俳優の中山美穂さんについて、死因は「ヒートショック」や溺死の可能性もあることが分かった。気温の低い日が続き、お風呂につかって体を温めたいところだが、「ヒートショック」には十分な注意が必要だ。ヒートショックによる死亡者数は約10年間で1.5倍に増加。新潟市民病院・救命救急センターの熊谷謙副センター長に3つの対策を聞いた。

■2022年は新潟市で136人死亡
“ヒートショック”なぜ起こる?

厳しい寒さが続く冬…。体を温め、一日の疲れを和らげるために、夏に比べて湯船につかる時間が長くなる人も多いと思うが、一段と「ヒートショック」への対策が必要だ。

新潟市民病院・救命救急センターの熊谷謙副センター長に話を聞いた。

新潟市民病院 救命救急センター 熊谷謙 副センター長:
例年、新潟市民病院だと、冬の間を中心に20人くらい。今年はそれよりも多いペースという印象。

杉山萌奈アナウンサー:
冬は、寒さに震えながら脱衣場で服を脱ぎ、熱めの浴槽につかっていませんか?この温度差、高齢者はヒートショックを引き起こす原因にもなります。

入浴の際、暖かい部屋から寒い脱衣場や浴室内に移ると血管が収縮し、血圧が急上昇。その後、熱い風呂に長くつかると、血管が拡張し、血圧が急降下する。

この血圧の変動によって、心臓病や脳疾患を引き起こし、浴槽内だと溺れてしまうのが、ヒートショックだ。

新潟市では2022年、入浴時のヒートショックなどの体調変化が原因で救急車を要請した数は速報値で349件、このうち136人が死亡。発生数は2021年と比べ、60件以上増加している。亡くなった人の7割以上が75歳以上の後期高齢者だった。

新潟市民病院 救命救急センター 熊谷謙 副センター長:
高齢者は、血圧を調整する自律神経血圧を調節する機能が年齢とともに衰えているというのが一つと、「フレイル」と最近言われているが、何かあったときに回避する、うっかり湯船に沈みそうになったときに、かわすなどの回避行動が衰えてくるのも一つだと考えている

消費者庁によると、死亡者数は約10年間で1.5倍に増加しているという。

新潟市民病院 救命救急センター 熊谷謙 副センター長:
入浴中に血圧が下がってしまい、意識がなくなる。意識がなくなった結果、お湯に沈んでしまい、肺に水が入って、溺れてしまう。最悪、心肺停止に至ってしまう

新潟市民病院 救命救急センター 熊谷謙 副センター長:
(Q.怖ければ、シャワーだけでも?)浴槽の中で意識を失うのがヒートショックの死因なので、浴槽につからなければ、リスクはだいぶ軽減される。溺れてしまうと、かなり厳しい。いかに、溺れるところに至らせないかが大事

溺れないためには、同居人が気に掛けることも大切だが、自分でヒートショックを避けるための対策を行うことも重要だ。

■ヒートショックを防ぐ3つの対策
ヒートショックを防ぐ対策

【対策1】
温度設定は41℃以下にし、浴槽につかる時間は10分以内に。

新潟市民病院 救命救急センター 熊谷謙 副センター長:
もう少し長湯をしたい場合は、いきなり熱いお湯に入るのでなく、ぬるめのお湯から追い炊きして、少しずつ体をならしながら温める。

【対策2】
脱衣所には暖房機器を、設置湯船は蓋を開けて、蒸気で浴室を温める。

新潟市民病院 救命救急センター 熊谷謙 副センター長:
外気温が低いこともリスクだが、光熱費高騰で暖房を控える方が増えると、ヒートショックも増えるのではと心配している。命を守るためには、極力暖房費を惜しまないでほしい。

【対策3】
浴槽から急に立ち上がらない。

新潟市民病院 救命救急センター 熊谷謙 副センター長:
水圧がかかっていて血圧が保てているが、湯船から上がると急に血圧が下がるので、急に立ち上がらず、手すりにつかまり、ゆっくり体を起こすのがいい。場合によっては、半身浴の状態で様子を見てから上がる対応がいい。

■溺れている人はどう救助?
溺れている人を救助するには?

また、食後すぐの入浴や飲酒後・医薬品服用後の入浴は控えることが大切。溺れている人を助ける場合は…。

新潟市民病院 救命救急センター 熊谷謙 副センター長:
呼吸ができる状況、顔が水没していなければ、一刻を争うわけではない。溺れてしまわないよう、措置を取る。一番は湯船から上げることだが、それができなければ、浴槽のお湯を抜く、顔を支えたうえで救急車を呼ぶ。

快適なお風呂を悲劇に変えないために、備えることが重要だ。

新潟市民病院 救命救急センター 熊谷謙 副センター長:
病気ではない。高齢の方であれば、健康な方でも起こり得る。他人ごとと考えず、知識を持ち、実践すると、死亡する人の数はかなり減らせる。

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