「マイコプラズマ肺炎」感染拡大続く。症状や感染予防などは #専門家のまとめ
新型コロナのパンデミック後、様々な感染症が流行しています。手足口病、麻疹(はしか)、ヘルパンギーナ、そしてマイコプラズマ肺炎などです。国立感染症研究所の今年第37週(9月9日から15日)のデータによれば、マイコプラズマ肺炎の定点医療機関当たりの報告数は前週比15.6%増の1.41人となり、2024年の最多を更新しました。
ココがポイント
マイコプラズマ肺炎は潜伏期間が長いので、あと1カ月、2カ月とだらだら続くのではないか
「耐性菌」に感染すると治りにくく、気管支ぜんそくなどの持病がある人は重症化しやすい
マイコプラズマ肺炎の定点医療機関当たりの報告数は前週比15.6%増の1.41人となり、2024年の最多を更新した
流行が拡大すると、肺炎の患者さんが増えていくので、注意が必要です
エキスパートの補足・見解
マイコプラズマ肺炎の定点当たりの報告数は、26都道府県で前週を上回るなど依然として感染拡大が続いています。都道府県別の第37週の定点当たりの報告数で、多い順に埼玉県3.83人、福井県3.17人、京都府2.86人などとなっています。2024年の累計報告数(7195人)で、都道府県別では、大阪府830人、東京都514人、愛知県415人、兵庫件380人、広島県359人などとなっています。
マイコプラズマ肺炎は、インフルエンザや流行性結膜炎などと同じ5類感染症で、細菌の一種であるマイコプラズマに感染することで多種多様な症状を引き起こす肺炎のことです。細菌の一種なので、もちろん細菌感染に特徴的な肺炎を引き起こしますが、肺炎の症状がウイルス感染によるものと似ていることもあるため、診断がなかなか難しい肺炎とされてきました。
原因不明の肺炎の多くがマイコプラズマによるものではないかと考えられており、成人の肺炎の10%から30%がマイコプラズマ肺炎と言われ、小児では50%と多く報告されています。そして、年間100万人くらいがマイコプラズマ肺炎と推定され、その中の10%くらいが入院治療すると考えられています。
マイコプラズマ肺炎の主な症状としては、乾いた咳や発熱、全身の倦怠感といった風邪の症状です。それらが長引いて慢性化したり繰り返し感染したりすることもありますが、多くの人は自然治癒していると考えられています。ただ、気管支炎、心筋炎などの血管炎、神経疾患、皮膚疾患など全身の炎症性疾患の症状が出ることもあります。
潜伏期間(14日から21日ほど)が長いため、時間差で流行することがあり、感染が長引くことがあります。また、薬剤耐性菌の出現も指摘されていることなどから、効果のある抗菌薬での治療のためには早めに専門の医師の診断を受けることが大切です。
マイコプラズマ肺炎は、主に感染者からの飛沫感染やエアロゾル、接触感染で感染します。熱やアルコールに弱いので消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどが有効ですが、乾燥には強いのでしっかり除去することが必要です。不織布マスクの着用や手洗い、うがいといった基本的な感染防止が効果的ですが、咳や発熱が長引いたらマイコプラズマ肺炎を疑い、早期に専門医の診断を受け、適切に治療することが重要です。