血液型は・・・「知らない」 血液型を知らない人が増加!? 「60年間A型だと…」の例も 医師は「知らないことは逆に“いいこと”」
いま、自分の血液型を知らない子どもが増えています。
1月、スポーツの強豪・高川学園(山口県防府市)で行われた「卒業献血」。運動部の3年生ら約80人が献血に協力しました。そこで聞かれたのが、「血液型とかってご存じです?」「いや」「知らない?初めて?」という看護師と学生の検査中のやりとり。実は多くの生徒が、自分の血液型を知りませんでした。
■なぜ血液型を知らない子どもが増えている?
針間産婦人科(山口県宇部市)院長で産婦人科医の金子法子さんに聞きました。
なぜ自分の血液型を知らない子どもが増えているのでしょうか。
産婦人科医・金子法子さん
「以前は新生児のとき、出産した病院などでサービスとして血液型検査をするのが1つの風景でした。ここ20年くらいは、生まれたときの血液型は一切調べないというのが常識になっています」
■出産時血液型を調べなくても大丈夫なの?
調べなくなったのはなぜでしょうか?
金子さん
「新生児のころは、お母さんの抗体がそのまま赤ちゃんに移る『移行抗体』というものがあります。また、新生児自身に抗体が完全にできていないため、誤った血液型の判定が出ることがありました。そういういうことが分かってきて、新生児の時には調べなくなりました」
tysのある社員は「60年間自分はA型だと信じていた母親が、手術のため検査をするとAB型だった」ということがありました。血液型が変わることはあるのでしょうか?
ー血液型が変わることはありません。血液検査には、いわゆる『おもて検査』と『うら検査』というものがあります。以前産院などで行っていたのは『おもて検査』だけの、簡易的なものでした。また、抗体がはっきりしないときに検査を行ったことで、誤った結果が出た可能性があります。
自分の血液型を知らないことで、デメリットはないのでしょうか?
金子さん
「焦って調べる必要はありません。輸血が必要な時はその人の自己申告ではなく、きちんと検査をしてから行います。血液型を早く知って得になることって・・・占いくらいですかね」
■どうしても血液型を知りたい!そのときは?
それでも自分の血液型を知りたい!という時はどうすればいいのでしょうか?
ー抗体ができきった1歳ごろからは、病院などで調べることはできます。ただ、保険はきかないので、血液型検査だけで来られる方はめったにいないですね。もちろん、手術や妊娠・出産の時にはきちんと調べることになります。子どもの時に血液型を知らないというのは、手術をするような、どうしても調べなきゃいけない状況になっていないということなので、逆にいいことだと考えてもいいと思います。
一方「血液型を知っておいたほうが安心」ということもあります。
山口県赤十字血液センターによると、日本人の200人に1人が該当する「Rhマイナス」などの特殊な血液型だった場合、病院によっては緊急時にきちんと検査できない可能性があるそうです。また、まれな血液型だった場合は、輸血の緊急用ストックが他県にしかないなど、届くまでに時間がかかってしまうこともあるということです。
知らないからと焦る必要はありませんが、自分が特殊な血液型ではないか、あらかじめ知っておくことも大切かもしれません。
山口県内で2022年度献血をした10代・20代の人の数は8053人と、この10年間で30%近く減っていて、若い世代の「献血離れ」が課題となっています。
献血をするときには血液型の検査もあわせて行われ、料金は必要ありません。誰かのために、そして、自分の万が一に備えるためにも、改めて献血を考えてみてもいいかもしれません。