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獣医師が警鐘! 夏場の「犬の散歩」 絶対にやってはいけない“たった一つのこと”

 獣医師が警鐘! 夏場の「犬の散歩」 絶対にやってはいけない“たった一つのこと”

「この炎天下で犬を散歩させている人がいた」。毎年夏になると、夏場の「犬の散歩」について懸念する投稿がSNSで散見されます。特に、太陽が出ている時間帯は気温が高い上、アスファルトがかなり熱くなっているため、「犬がかわいそう」「肉球をやけどしたらどうするの?」「やってること虐待と変わらない」など、批判的な意見が多くみられます。

夏場、犬の散歩をするときに気を付けるべきこととは何でしょうか。ますだ動物クリニック(静岡県島田市)院長で獣医師の増田国充さんに聞きました。

舗装された路面では50度を超えることも
Q.夏場、太陽が出ている時間帯に犬を散歩に連れて行く人が少なからずいるようで、「肉球をやけどする」「虐待と変わらない」との声も聞かれます。これについてどう思われますか。

増田さん「先日、国連のグテーレス事務総長が『地球沸騰化』と表現したように、日本の夏は以前と比べて明らかに暑さが増しています。猛暑日と呼ばれる日が増えたことは、犬にとっても過酷な環境となっていることを意味します。この環境のもとで、犬を日中にお散歩させることは、危険を伴っているといってよいでしょう。

そもそも、一般に『気温』と呼ばれる温度は、気象庁の測定方法で『芝生の上1.5メートルの位置で観測』することを標準としているため、実際に犬の体の中心に近い体表では、それ以上の温度になっています。また、都市部では舗装された路面がほとんどなので、その場合は地表温度が50度を超えることもあります。犬たちは、私たちが想像する以上の過酷な環境にあるわけです。

そのため、熱中症になる危険性や、地面と接する肉球が火傷(やけど)することもあります。歩くのを嫌がる、足の裏をしきりに気にするといった様子の変化や、肉球の腫れ、ただれなどを生じる恐れがあります」

Q.医学的観点からみて、夏場の犬の散歩で「絶対にやってはいけないこと」とは。

増田さん「犬種にもよりますが、犬は暑さに対して弱い傾向があります。被毛は本来、外気との温度差を体から守る働きをしますが、暑過ぎると熱がこもることがあります。また、犬は熱の発散を、汗ではなく呼吸によって行います。そのため、あまりに暑い状況だと熱を体内から出しづらくなるのです。

これらのことから、夏場のお散歩でやってはいけないことを挙げるとすると、基本的には『日中の炎天下では原則、散歩しない』ことだと思います。高齢や幼犬など体力が十分でない場合や、呼吸器や心臓をはじめとする持病のある子の場合は、健康な個体に比べて体温調節が十分に機能しない恐れがあります。現在療養中の場合も同様です。

また、水分を十分に取れていない場合や、無風、日差しを遮る場所がないコースを歩くなど、お散歩コースや気象条件などによっても、お散歩をすることが危険になる場合があります。

とにかく無理しないことです。早朝や日が沈んだ頃など、お散歩をする時間帯が限られてしまいがちですが、体調などを含めてお散歩の時間を検討してみてください」

Q.その他、夏場の犬の散歩で飼い主が意識しなければいけないことや、散歩中に異変がみられたときの対応について教えてください。

増田さん「できるだけ犬に負担をかけないような気遣いが必要と考えます。暑がり方や体質、健康状態などそれぞれ特徴があるので、それらをしっかりと把握しておくことが重要です。

現在の日本の気候を考えると、真夏の炎天下は、犬の散歩をする際の条件として適さないといえるかもしれません。暑さが犬の体に及ぼす影響は決して軽微ではありませんので、無理をさせないように気を付けておきたいものです。

お散歩を嫌がる様子があったり、『ハァハァ』のような呼吸が長時間続いたりするような場合は、熱中症の危険性が高くなっているサインです。元気がなくなり、ぐったりしている場合はさらに危険度が高いため、首回りや体幹をぬれタオルなどで冷やすなどし、動物病院に連絡した上で適切な指示を受け、対応しましょう。

レジャーシーズンは犬と外出する機会が増えます。キャンプや川遊びなど楽しいイベントが多いですが、河原の石も高熱になる他、長時間の屋外では高体温になりがちです。人間同様、犬の体調にもしっかり気を配って夏を乗り切るように心がけましょう」

オトナンサー編集部

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