なぜ、プールで熱中症に? 搬送された児童も その対策とは
ひんやりした水が気持ちいいプールの季節。そのプールにも熱中症のリスクがあります。この夏、水泳の授業で児童が熱中症となり、病院に搬送されるケースもありました。でも、どうしてプールで熱中症になるのでしょうか。【デジタル報道センター】
◇体温下がりにくく、脱水状態に
スポーツ庁の担当者は「陸上では汗をかくと皮膚から水分が蒸発する際の気化熱で体温が下がりますが、水中では気化しないため、汗をかいても体温が下がりにくい面がある」と説明します。
独立行政法人「日本スポーツ振興センター」の資料などによると、33~34度より高い水温には警戒が必要です。水温33~34度は、水中でじっとしていると体温が上がりもせず下がりもしない「中性水温」と呼ばれるレベルで、これを超えると運動しなくても体温が自然と上がってしまうためです。
ただ、33度未満でも泳いでいれば体温は上がるので、注意が必要です。また、水温が高くなるにつれて泳いでいる人の発汗量や脱水量も増えるため、熱中症のリスクが高まります。
◇相次ぐ事例、どう対策を?
日本スポーツ振興センターの調査によると、全国の小中学校では2013~17年度の5年間にプールでの熱中症が計179件ありました。このうち水泳中(水泳直後を含む)が最も多く、92件でした。
23年7月7日には、千葉市稲毛区の市立小学校でプールの後に体調不良を訴えた4年生6人が熱中症の疑いで救急搬送されました。
スポーツ庁の担当者は「水泳中は口の中にも水が入ってくるため、喉が渇いていると気づきにくい。積極的に水分補給し、木陰で休むなどの対策を取ってほしい」と話しています。
発汗量に応じた水分補給を心がけることも重要ですが、日陰での小まめな休憩や、直射日光を浴びやすい頭部を水中で冷やすことも有効です。
また、水泳の授業の見学者が熱中症になる例も相次いでいることから、プールサイドに遮光ネットを取り付けるなどして直射日光を避け、水をまいて温度を下げることも大切です。