[ カテゴリー:生活 ]

「マイナ保険証」に医療費10割負担だけでは済まない大問題! 7割の病院でトラブルあり

「マイナ保険証」に医療費10割負担だけでは済まない大問題! 7割の病院でトラブルあり 

マイナ保険証にまつわるトラブルが相次いでいる。それが使えず、10割負担を余儀なくされるケースもある。そんな極端なケースが一過性ではないというから厄介だ。トラブルの現状を探る。

 ◇  ◇  ◇

マイナ保険証は、マイナンバーカードに紐づく保険証のこと。患者の同意のもと、病院や薬局などで、マイナ保険証を専用の読み取り機にかざすと、医師や薬剤師は薬の処方履歴や特定健診の結果に加えて、受診歴や手術の内容もチェックできる。そうすると、あちこちの医療機関などでムダな薬や検査を省略でき、確認作業が減る。政府はそんな触れ込みで半ば強引にマイナ保険証の導入を進め、来年度には既存の保険証をやめ、マイナ保険証への完全移行を描く。

政府の青写真はまったくのデタラメだ。全国保険医団体連合会(保団連)は、全国のマイナ保険証に関連するトラブルを調査。その集計結果を6月21日に発表した。

それによると、マイナ保険証のシステムを導入している医療機関8437件のうち、トラブルありは65.1%に上ったのだ。政府が語る“楽チンな医療手続き”どころかドタバタ続きで、膨大なロスを生んでいるのが実態だ。

同会副会長の竹田智雄氏が言う。

「マイナ保険証のトラブルの内訳で最も多いのは『資格無効・該当なし』と表示されるケースでした。マイナ保険証が専用の機械で読み取られると、オンラインで資格の確認を行います。ところが、そのシステムサーバー内にある被保険者情報がリアルタイムに反映されていないことなどが主な原因で、『資格無効・該当なし』と表示されるのです。複数回答で66.3%ですから、かなりの医療機関で頻発していることが見て取れます」

■誤情報で1割が2割負担で表示された

調査に参加した栃木の病院からは「マイナ保険証のみで確認できた例がなく、既存の保険証の提示を求めると、『それでは意味がない!』と言われる」との声があがり、「手入力が必須のため、負担軽減とは思えない。信用できない」(同=以下、都道府県名のみ)と怒り心頭だ。

窓口負担の割合が誤っているケースも珍しくない。これも参加医療機関の声を紹介しよう。

「ある後期高齢者の新規患者の負担割合は、3割が正しいのに1割で入力されていた」(長野)

「1割が正当なのに2割と表示された」(大分)

患者にとっては医療費の支払いが“ロシアンルーレット状態”。激安もあれば、ぼったくりもある。政府肝いりのマイナ保険証がこれでは信用できない。

「『利便性や医療の質向上』とは真逆の状態。トラブル多発で、『医療妨害』ともいうべき状態です」(竹田氏)

こうしたトラブルがあると、栃木の怒りのコメントにあったように既存の保険証で確認作業をすることになる。しかし、マイナ保険証が保険証がわりだから、持参せずに受診する人は珍しくない。そうすると、病院ではシステムのコールセンターや保険組合などにその都度電話で患者情報を確認する。全国的なトラブル多発で電話がつながらなかったり、土日で組合が休みだったり……。

「時間も手間もかかるようになってしまった」(福島)と病院側はヘトヘトで、患者側もモタモタした手続きにイライラが募る。

それでも病院側の努力が実って確認ができたケースはまだいい。できないと、どうなるか。

「マイナ保険証で『資格無効』と表示されると、“無保険者”扱いになります。そうすると、患者さんは窓口で医療費の10割分を負担していただき、確認ができた時点で保険料分をお返しすることになる。調査では、10割負担を徴収した事例が38都道府県で1291件ありました」(竹田氏)

これこそ、社会問題になっているマイナ保険証の10割負担問題だ。マイナ保険証を申請する自治体の窓口では、「これがあれば保険証ナシで受診できます」といった説明を受けるが、システムの入力ミスで「10割負担を」では、患者が怒るのも当然。

「待合室で大きな声で騒ぎ立てるため、やむなく警察を呼んで、その場は収束しましたが……」(東京)と警察沙汰になったこともある。

本来1~3割負担で済むはずの医療費が、10割負担では一体、支払いがいくらになるのか。この10割負担問題、窓口負担がハネ上がるだけでは済まない問題もはらんでいる。

「経済的な負担の増加により、受診が困難となって受診控えが想定されます。10割負担は自費扱いですから、保険診療が前提となる高額療養費制度を使用できなくなるのが2つ目。そして3つ目が問題です。来年秋に予定される既存の保険証廃止で、マイナ保険証が『無効・該当なし』のままだと、個人情報が正しく修正されるまで保険診療が受けられなくなるのです」(竹田氏)

こうなると、国民皆保険制度の破綻といっても過言ではない。繰り返しになるが、「無効・該当なし」は最多の66.3%だ。多くのケースは、既存の保険証確認で切り抜けただろうが、この人たちは保険証廃止後の10割負担予備軍といえる。マイナ保険証に変更しながら未受診の人の中にも、「無効・該当なし」はいるはずだ。予備軍はもっといても不思議ないだろう。

「無効・該当なし」の原因は、システムへの入力ミスや更新作業の遅れである。たとえば、転職や退職、結婚などで加入する保険が変わると、情報の更新が必要だが、同じ会社で正社員のままなのに「該当なし」とされ、トラブルになることも続出している。

入力ミスのうち、他人の情報が紐づけられていたケースは31都道府県で114件。「『資格なし』と表示されながら、患者情報に生年月日が同じ他人が表示された」(千葉)、「男性のマイナ保険証で本人のほか、無関係の女性2人のデータも出た」(静岡)というワケが分からないダダ漏れもあるから怖い。

■そもそも出生時の登録が間違っている

目を疑うような事態をうけ、政府はオンライン資格確認システムに登録されたデータの確認作業を行う方針だ。その点検作業で照らし合わせるのが、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)のデータだ。その信ぴょう性も揺らいでいるという。

保団連の本並省吾事務局次長が言う。

「人口25万都市の担当係長にヒアリングしたところ、J-LISの住民基本台帳ネットワークのデータ間違いは存在し、全国の潜在的な件数は想像できないといいます。たとえば、10年以上前に誤登録されたものがたまたまの異動をキッカケに発見されるケースや、転出が反映されていないもの、そもそも出生時に登録間違いしているものなどがそれ。J-LISのデータはマイナ保険証の整合性を担保するものではなく、まず先にJ-LISにある住基ネットの完全性を全国レベルで実施する必要があります。今回のマイナ保険証に関する総点検は、さらなる混乱をもたらすはずです」

生まれたときから入力データが間違っているとは、開いた口がふさがらない。ある健保組合では、登録された保険者情報とJ-LISのデータを突き合わせたところ、J-LISデータの生年月日は5年ズレていたことが判明したという。

本並氏はこの実態について総務省に質問したところ、総務省は自治行政局住民制度課・福富茂氏の名前で誤入力について、「人の作業なのでヒューマンエラーは捨てきれない。基礎自治体の情報とJ-LISデータに差異が生じることはありうる」といった趣旨の回答をしたという。

J-LISのベースになっている住基台帳の誤りは、指摘を受けて修正されることから、正確性が確保されるそうだが、総点検は紛糾必至。既存の保険証は、来秋の廃止後も持ち続けた方がよさそうだ。

コメントを受け付けておりません。

Facebook にシェア
[`tweetmeme` not found]

団体理念  │  活動展開  │  団体構成  │  定款  │  プライバシーの考え方  │  セキュリティについて  │  事業  │  メディア掲載  │  関連サイト  │  お問い合わせ

copyright © JMJP HOT TOWN Infomaition Inc. All Rights Reserved.   NPO法人 住民安全ネットワークジャパン

〒940-0082 新潟県長岡市千歳1-3-85 長岡防災シビックコア内 ながおか市民防災センター2F TEL:0258-39-1656 FAX:020-4662-2013 Email:info@jmjp.jp