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夏バテせずにフレイルも予防…カギを握る食材は?

 夏バテせずにフレイルも予防…カギを握る食材は?

筋力の低下や低栄養を防ぐには、バランスのとれた食事が欠かせません。ただ、暑くなると食欲が減り、「食事をする気にならない」という人もいるのではないでしょうか。暑さに負けず、夏を乗り切るために、食事の基本や簡単にできる料理のコツを紹介します。(沼尻知子)

意識してたんぱく質を
■缶詰で手軽に
身近な食品でたんぱく質をとれるメニューを学んだ(岐阜県各務原市で)

「体をつくるたんぱく質を意識してとりましょう」

6月11日、岐阜県各務原市で、65歳以上の市民を対象にしたフレイル予防の料理教室が開かれた。講師は、地元の東海学院大学の平光美津子客員教授。「普段の料理に大豆の水煮やツナを加えてみましょう。缶詰を使うと手軽ですよ」といったアドバイスに、16人の参加者が熱心に耳を傾けていた。

メニューは4品。主菜の「よだれ鶏」は、たんぱく質を多く含む鶏の胸肉を使い、暑い日でも食欲が増すように、ラー油でピリ辛の味付けに。副菜の「なすと油揚げのあえ物」は、旬の時期で手に入りやすいナスに、たんぱく質を補える油揚げを組み合わせた一品で、作りやすいように電子レンジで加熱する方法を紹介した。そのほか、「ゆで大豆のご飯」「カボチャスープ」を料理した。

■おっくうでも大切
参加した熊沢智佐子さん(77)は一人暮らし。「肉や魚、豆腐を意識して使い、自分で作るようにしている。1人分を作るのがおっくうに感じることもあるけど、食事は大切」と、実践するフレイル予防法を教えてくれた。また、村瀬広昭さん(73)は台所に立つ機会が少ないというが、「缶詰を使うなど、簡単に作るコツを教えてもらえたので助かる。自宅でも思い出して作ってみたい」と話していた。

平光さんは「高齢期は食が細くなるので、副菜など小さなおかずを組み合わせて品目を増やし、栄養のバランスを取るようにするといい」と勧めている。

「1日3食」「水分補給」が重要
■食事時にコップ1杯
暑い時期のフレイル予防のポイントは? 仙台市の在宅訪問管理栄養士・塩野崎淳子さんによると、重要なのは「1日3食」と「水分補給」だという。

シニア期は一度にたくさん食べられないので、栄養を後で補うのが難しい。塩野崎さんは「食事を抜いてしまうと、1日の栄養の摂取量が大きく減ってしまう」と指摘する。1日3食を決まった時間に食べることが、生活のリズムを作ることにもつながる。

意識的に水分を補給するのも大切だ。特に弁当や総菜は、水気が少ないメニューが多いので要注意。「食事とあわせて、コップ1杯の水を飲みきるよう意識するといい」と話す。

 夏場は、のど越しがいい麺類を食べる機会が増える。そんなときも、サラダチキンや温泉卵などでたんぱく質を補いたい。刻んだ大葉をのせれば、ビタミンAもとれる。

カット野菜や冷凍野菜も上手に活用しよう。冷凍のとろろ芋はエネルギーを補える。

■「ちょい足し」も有効
料理のしやすさや食べやすさから、同じものを繰り返し食べてしまいがちだ。そこでバリエーションを増やすことを意識したい。

塩野崎さんのおすすめは、鶏のそぼろやなめたけなどの瓶詰。ちょっと足すと食べやすくなる。ただし、「塩分が多いので、味のアクセントとして少しだけ加えるようにして」。

まず「適正体重」を知ろう
フレイル予防に大切な食習慣について、女子栄養大学の石田裕美教授に聞いた。

夏を乗り切る食事術
現役世代は生活習慣病の予防のため、メタボリックシンドロームなどに気をつける必要があります。一方、年齢を重ねると、低栄養にならない食習慣が大切になります。

栄養が不足した状態が続くと、筋肉量が低下してしまい、要介護状態になるリスクが高まります。歩くスピードが遅くなったり、瓶のふたが開けにくくなったりしている人は注意が必要です。

予防の第一歩は適正体重を知ることです。体格指数(BMI)は65歳以上の場合、21・5~24・9を目標にするといいとされています。BMIは、体重(キロ)を身長(メートル)で2回割ると算出できます。

食事は主食、主菜、副菜を組み合わせると、栄養バランスを取りやすいです。主食でエネルギーを確保し、主菜で骨格や筋肉を作るたんぱく質を意識して取ることが大切です。

たんぱく質の1日の摂取量は、65歳以上なら体重1キロあたり1グラムが目安。体重60キロなら1日60グラムを目標にしてください。卵や豆腐を使えば、料理のバリエーションが多くなります。魚や肉もしっかり食べましょう。魚は、カルシウムの吸収を促すビタミンDが豊富に含まれています。

[フレイル予防隊]「地域ぐるみ体操」盛り上げたい
4月にスタートしたフレイル予防隊に皆様からご応募いただき、ありがとうございました。今回はその中から、埼玉県桶川市の塚田加代子さん(67)に登場していただきます。

町内会で副会長を務める塚田さん。週1回、地元の会館でフレイル予防の体操をしている。地元で続けている体操をもっと盛り上げるにはどうすればいいのか。地域ぐるみでの活動のコツについて教えてもらうため、高齢者の社会参加に詳しい東京都健康長寿医療センター研究所の村山洋史さん(43)を訪ねた。

まず質問したのは、男性の参加者をどう増やすのかということ。参加者は女性が多く、男性は2割ほどしかいないという。

 村山さんは「どこでも似たような悩みがあるようです。男性は会場の窓開けや片づけなど、役割が明確にあると来やすくなります」とアドバイス。また、多くの人に続けて参加してもらうために、「誰かが見てくれていると思うと頑張れるので、参加者同士で褒め合うのもいいでしょう」と提案した。

コロナ禍での活動のあり方も塚田さんの悩みの種だ。以前は約50人の参加者を一度に集めて体操していたが、密を避けるために2部制に。お菓子を食べながら交流する時間もあったが、今はおしゃべりもしづらい。

すると、「それぞれ対策を考えれば、できることもありますよ」と村山さん。例えば、近況報告は事前にシートに書いてもらう、お菓子を食べるときは黙食。マスクやアクリル板で感染対策をして、おしゃべりする。「全員に安心してもらうのは難しいので、希望する人だけ残って交流するのもいいですね」

塚田さんは「準備を手伝ってくれた参加者に感謝の気持ちを伝えたり、最近のできごとをみんなに報告する時間を設けたりして、楽しく通い続けてもらえるような場にしていきたい」と話していた。

[元気ごはん]焼きチーズおにぎり
夏を乗り切る食事術
◎材料1人分
冷凍の焼きおにぎり2個/スライスチーズ2枚/タマネギ1/8個/ツナ缶20g
※タマネギ、ツナ缶の量は、おにぎりにのるくらいで。
◎作り方
〈1〉冷凍の焼きおにぎりを電子レンジで温める。
〈2〉タマネギは薄切りにする。
〈3〉フライパンに並べた焼きおにぎりの上にタマネギ、ツナをのせ、その上にチーズをかぶせるようにのせる。
〈4〉ふたをして、チーズが溶けるまで弱火で蒸し焼きにする。

◎ひとこと
冷凍食品を活用して、手軽にできる一品。間食にもおすすめです。
おにぎりの代わりに、ギョーザの皮を使い、ゆで卵やソーセージ、チーズをのせてもいいですね。おつまみとして売っているマグロや卵の薫製、いりこなどを食べると、たんぱく質やカルシウムが簡単にとれますよ。【監修 川口美喜子・大妻女子大教授】

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