10代・20代男性の心筋炎 モデルナとファイザーのワクチンでの頻度の違い
10代・20代の男性では、新型コロナワクチン接種後に心筋炎が起こることが知られていますが、この心筋炎の頻度はモデルナとファイザーのワクチンで頻度が異なることが分かってきました。
実際に頻度はどれくらい異なるのでしょうか?
ファイザー社、またはモデルナ社のmRNAワクチンを接種した後に稀に心筋炎が発生することが知られています。
心筋炎とは、心臓の筋肉(心筋)に炎症が起こり、心臓の収縮力が低下したり、不整脈を起こしたりする疾患です。
新型コロナワクチンに関連した心筋炎の特徴としては、
・高齢者よりも10代・20代の若年者に多い
・女性よりも男性に多い
・1回目よりも2回目接種後に多い
・接種後1週間以内に起こることが多い
といった特徴があります。
なお心筋炎を起こした事例も軽症例が多く、ほとんどの症例は軽快・回復が確認されています。
また心筋炎と同様に、新型コロナワクチン接種後に心臓を包み込んでいる膜(心膜)に炎症が起こる心膜炎が起こることも知られています。
心筋炎や心膜炎の典型的な症状としては、ワクチン接種後1週間以内に、胸の痛みや息切れなどがあります。特に若年の男性の方は、こうした症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
こうした中、ファイザー社のワクチンよりもモデルナ社のワクチンの方が、心筋炎の頻度が高いことが明らかになってきました。
表は、日本国内における男女別の各年代ごとの心筋炎・心膜炎が疑われた事例の報告頻度ですが、全体的に男性の方が多く、特に10代・20代に多いことが分かります。
また、ファイザー社と比べると、モデルナ社のmRNAワクチンの方が、年代によって差はあるものの、数倍から最大で8倍程度多いことが分かります。
特に報告の多い、10代・20代の男性に絞って比較をしてみると、ファイザー社のワクチンでは100万人あたり10代で3.7人、20代で9.6人であったのに対し、モデルナ社のワクチンでは10代で28.8人、20代では25.7人となっています。
こうした結果を受けて、厚生労働省は10代・20代の男性は1回目にモデルナを接種していたとしても2回目としてファイザー社のワクチンを接種できることとしました。
こうした新しい副反応の知見によって柔軟に対応を変えていくことは重要と考えられます。
しかし、健康な人と感染者とを単純に比較はできませんが実際に新型コロナウイルスに感染したときに起こる心筋炎の頻度(日本国内の15〜39歳で100万人当たり834人)よりはずっと低く、現時点においてはどちらのワクチンも接種によるベネフィットがリスクを上回っていることから、今後も接種するご自身が「ワイはファイ卒よりもモデ卒になりたいんや!」とモデルナを希望の場合は接種可能です。
若い方も引き続きワクチン接種をご検討ください。