「解約したはず!」「契約してない!」と思い込んでいませんか?予期せぬ“サブスク”の請求トラブルに注意!
「サブスクリプション(以下、「サブスク」という)」とは、定められた料金を定期的に支払うことにより、一定期間、商品やサービスを利用することができるサービスのことです。一般的に、一度契約をすると、解約しない限り自動的に支払いが継続されます。
全国の消費生活センターには、サブスクに関する相談が、2021 年度以降、毎月 500 件程度寄せられています。店舗における申し込みもありますが、インターネット上での申し込みが多く、中には契約内容等を正しく認識していないまま契約し、請求に気づいてトラブルになるケースもみられます。
そこで、インターネットで契約したサブスクに関するトラブル事例についてまとめ、消費者への注意喚起を行います。
1.相談事例(( )内は受付年月、契約当事者の属性)
【事例1】メーカーの公式サイトと勘違いして有料質問サイトを利用し、月額料金を請求されたプリンターに不具合が発生したため、インターネットでメーカー名を入力して解決方法を検索したところ、画面に「500 円で解決できる」と表示された。メーカーの公式サイトだと思っていたので、500 円ならと考えて求められた情報を入力した。質問への回答は得られたが、不具合は解決できなかった。
後日、クレジットカードの明細を確認していたら、約 5,000 円の身に覚えのない請求があった。
カード会社に問い合わせると、事業者名と電話番号を案内され、自分で確認するように言われた。
事業者に問い合わせると、「あなたは定額会員に登録されている。クレジットカード情報を入力する画面に、トライアル期間の後に解約されない場合には、自動的に定額会員になる旨の説明がある。解約は受け付けるが初月分は返金されない」と説明された。メーカーの公式サイトだと思っており、有料質問サイトに会員登録した覚えはない。
(2021 年6月受付 60 歳代 男性)
【事例2】動画配信サービスの解約を忘れ、利用していないにもかかわらず代金を請求された新型コロナウイルスが流行しており、自宅で過ごす良い方法がないか考えていたところ、「動画配信サービス無料トライアル」の広告を見つけ、申し込みをした。その後、半年ほど入会したことを忘れてしまい、1回も利用しなかった。最近、クレジットカードの利用確認をしたところ、動画配信サービスの月額料金として毎月約 2,000 円の引き落としが続いていた。事業者に連絡して退会したが、契約期間中の料金は請求されるとのことだった。サービスを利用していないのに代金を支払わなければならないことに不満だ。
(2021 年8月受付 70 歳代 女性)
【事例3】通販サイトの有料会員に登録したメールアドレスがわからず、解約できない
クレジットカードを解約しようとカード会社に連絡した際、通販サイトの年会費約 5,000 円をこれまで支払っていたことがわかった。今までカード明細を見ておらず、有料会員になっていたことも忘れていた。いつ登録したか、家族の中の誰のアカウントかも不明だ。解約しようと通販サイトの運営会社に電話をしたところ、「登録しているメールアドレスを送ると解約手続きを始めることができる」と言われた。しかし、登録したことも忘れているくらいなので、メールアドレスなど全くわからない。このままでは解約できないので困ると通販サイトに訴えたが、電話ではそれ以外の方法が無いとのことだった。どうすれば解約できるか。
(2021 年5月受付 70 歳代 男性)
【事例4】1週間の無料体験のためにダイエットトレーニングアプリをダウンロードした後、退会したと思っていたら継続課金になっていたダイエットトレーニングアプリの1週間無料体験の広告を見て、スマートフォンにアプリをダウンロードした。数日使い、必要ないと思った。退会手続きの方法が示されていなかったので、アプリを削除すれば退会になると思った。しかし最近になって、クレジットカードにそのアプリの利用料と思われる2万円の請求が上がっていることに気づいた。あまり利用しないカードだったので確認していなかったが、その前にも2万円引き落とされていることが分かった。事業者に問い合わせたところ、月 5,000 円で4カ月分とのことだった。私は継続利用の申し込みをしたつもりはない。返金してほしい。
(2021 年5月受付 30 歳代 女性)
2.相談事例からみる特徴と問題点
(1)サブスクがどのような契約かを正しく理解していない
「○カ月無料体験」「○日間無料トライアル」等の広告・表示をきっかけとしてサブスクを申し込んだところ、いつの間にか有料サービスに移行し、利用料金が発生していたという相談が多く寄せられています (事例1・2・4)。
サブスクの契約では、トライアル(体験)として、一定期間無料でサービスを受けられることがあります。近年よくみられるパターンでは、無料トライアルを申し込む時点でクレジットカード番号の登録が求められ、有料サービスに移行した後に、そのクレジットカードで自動的に定額料金が決済されるというものがあります。
無料期間中に解約すれば、料金がかかることはありませんが、解約しなければ自動的に有料サービスに移行します。有料サービスへの移行後は、解約手続きをしない限り、定期的に定額料金が引き落とされます。
また、動画や音楽配信サービスなどで、「利用していないにもかかわらず、高額な料金が請求されていた(事例2)」という相談も多数みられます。サブスクを契約している間は、サービスの利用の有無に関係なく、料金の請求を受けることになりますが、そのことを理解しないままに契約していることにより、トラブルが発生しているケースがみられます。
(2)契約内容や契約先の事業者を誤って認識している
サブスクを契約する際には、多くの場合、「トライアル期間を過ぎても解約されない場合には、自動的に有料サービスに移行する」等と契約条件が表示されています。しかし、相談内容をみると、「500 円ならと思って契約したが、定額会員になっていた(事例1)」、「無料体験の期間のみの契約で、継続利用の申し込みをしたつもりはない(事例4)」など、消費者が契約条件を正しく理解していないことがあります。
また、「メーカーの公式サイトだと思って契約したが、覚えのない事業者から請求を受けた(事例1)」、「いつ登録したか覚えていないが、通販サイトの有料会員になっていた(事例3)」など、消費者が契約先の事業者を誤認しているケースや、契約したことを覚えていないというケースもみられます。
(3)無料期間中に解約手続きを忘れていた/解約方法が分からず無料期間中に解約手続きができなかった
「○カ月無料体験」「○日間無料トライアル」の後に有料サービスに移行するという契約条件を理解している消費者は、「無料体験の期間内に解約すれば料金を支払わずにサービスを体験できる」と考えて申し込みますが、解約手続きをすることを忘れていて、有料サービスに移行してしまったという相談も寄せられています(事例2)。
また、解約手続きをしようとしたけれども、ID やパスワードなどの情報を忘れてしまったというケースなどがあります(事例3)。「解約方法がわからないので解約を申し出ることができず、月額利用料金を支払い続けなければならないので困っている」という相談もみられます。
(4)解約したつもりが、解約できていなかった
「自分ではサブスクを解約したつもりだったが、クレジットカードの決済が続いていた」など、解約手続きが正確にできていなかったというケースもあります 。特にスマートフォンアプリの場合には、「アプリを削除すれば退会になると思った(事例4)」など、消費者自身が誤った方法で手続きし、「解約できた」と思い込んでいることがあります。
(5)期待したサービス内容ではなかった
サブスクの相談では、契約・解約に関するトラブルが多数を占めますが、その他にも、消費者が期待していたようなサービスが受けられなかったというものもあります。
「質問サイトを利用したが、もらった回答では解決できなかった(事例1)」、「お花のサブスクを申し込んだが鮮度が悪い」、「レストランのサブスクを契約したが、メニューの品数が減ってしまった」等の相談がみられます。
3.消費者へのアドバイス
(1)「無料体験」「無料トライアル」の広告・表示をきっかけにサブスクを申し込む際には、契約条件をよく確認してから契約しましょう「○カ月無料体験」「○日間無料トライアル」と広告・表示されていても、無料期間内に解約をしなければ、自動的に有料サービスに移行されます。また、無料期間が終了し、有料サービスに
移行することがお知らせされない場合もあります。契約をする前に、無料期間や無料の条件などを確認しましょう。
また、代金の支払については原則として利用規約に従うことになります。サブスクの利用規約には、解約手続きを行わない限り契約が自動更新される旨が記載されています。さらに、サブスクの特徴として、「契約期間中はいつでもサービスを受けられる状態にある」という点があります。実際にサービスを利用しなかったとしても、契約期間中であれば料金が発生することになります。したがって、利用していなかった期間について事業者に返金を求めても、対応されないことがあります。
(2)解約する場合は、事業者の公式ホームページなどで手続き方法を確認しましょう
サブスクを解約するには、事業者の定める方法で解約手続きをする必要があります。事業者のホームページ等に記載されている、解約手続きの案内を確認するようにしましょう。
解約できているか不安な場合は、インターネット上のマイページ等で契約状況を確認したり、事業者に問い合わせたりするようにしましょう。
スマートフォンアプリの場合には、アプリをアンインストール(削除)するだけでは、サブスクが解約できる訳ではありません。スマートフォン OS のアカウントで、「設定」から解約手続きをする必要があります。
正確に解約手続きができていないと、サブスクの契約は継続になり、定期的に定額の利用料金が発生しますのでご注意ください。
(3)申し込む前に、契約の相手方の事業者名、サービス内容、解約方法を確認しましょう/申し込み時の登録情報は解約手続きに必要になりますので忘れないようにしましょう
申し込む前に、契約の相手方の事業者名や、サービスの内容をよく確認するようにしましょう。広告・表示だけではなく、サービスの「利用規約」や「よくある質問」などを確認してから申し込みましょう。
サブスクを契約する際は、無料トライアル期間などが設けられ、期間経過後に改めて自分で手続きをしなくても自動的に有料サービスに移行するなど、契約のハードルが低くなっていることがあります。しかし、契約する時の容易さに比べて、解約方法が複雑だったり、わかりにくかったりして、解約手続きができないという相談も寄せられています。申し込む前に、解約方法もよく確認するようにしましょう。
また、解約手続きの際に、申し込みの際に登録した情報(メールアドレス、電話番号、パスワード等)が必要になることがありますので、忘れないようにしましょう。
(4)利用していないサブスクの支払いがないか、クレジットカード等の明細は毎月確認しましょう
サブスクの契約をしていることに長期間気がつかずにいると、意図せず定額料金を支払い続けることになってしまいます。利用していないとして事業者に返金を求めたとしても、対応されないことがあります。
利用していないサブスクの請求にすぐ気づけるように、クレジットカード等の明細は、毎月確認しましょう。スマートフォン等のアプリについては、OS のアカウントの「設定」から、サブスクの契約の有無が確認できます。
(5)不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう
*消費者ホットライン:「188(いやや!)」番
最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
4.情報提供先
本報道発表資料を、以下に情報提供しました。
・消費者庁
・内閣府消費者委員会事務局