物のウイルス対策等をうたう「次亜塩素酸水」
新型コロナウイルスの感染拡大により、除菌や消毒をうたう商品の需要が高まり、店頭にはさまざまな商品が販売されています。そのような中、ウイルス対策等をうたい次亜塩素酸水として販売されている商品(以下、「次亜塩素酸水」とします)が多数みられます。
2020年6月に厚生労働省、経済産業省、消費者庁の3省庁連名で公表された「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」において、物に付着したウイルス対策の手法として、熱水や塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)、洗剤(界面活性剤)、「次亜塩素酸水」、一定濃度のアルコールが挙げられています。「次亜塩素酸水」の性質や取扱においては、製法と原料が基礎的な情報となるとされ、また、「次亜塩素酸水」の効力は有効塩素濃度(残留塩素濃度)と酸性度が指標となるとされています。一方で、次亜塩素酸濃度やpH、製法や原料が明記されていない商品が多いという報告もされています。
また、PIO-NETには、新型コロナウイルスに関連した相談のうち、「次亜塩素酸水」に関する相談が498件寄せられており、中には、手に刺激を感じた等の危害が発生したという事例もみられます。
そこで、市販されている「次亜塩素酸水」15銘柄について、有効塩素濃度やpH、表示等について調べ、消費者に情報提供することとしました。
テスト結果
有効塩素濃度
商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトに有効塩素濃度の表示がみられた14銘柄中8銘柄は、購入時期によって有効塩素濃度が表示の9割以下の場合がありました
液性(pH)
テスト対象銘柄の液性は弱酸性から中性であり、商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトにpHの表示がみられた13銘柄中2銘柄はpHが表示と異なっていました
表示・広告の調査
15銘柄中5銘柄は、商品本体や取扱説明書等に有効塩素濃度に関する表示がみられませんでした
9銘柄は、商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトに、対象となる物の汚れを落としてから使用する旨の表示がありませんでした
5銘柄には、商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトに、手指や口腔の洗浄等、化粧品に酷似した効果等に関する表示がみられ、消費者に誤認を与えるおそれがありました
商品本体及び取扱説明書等から使用期限が分からない銘柄が5銘柄ありました
消費者へのアドバイス
「次亜塩素酸水」は、有効塩素濃度が購入時点で表示の濃度と大きく異なる場合があることを知っておきましょう
「次亜塩素酸水」を購入、使用する際には、有効塩素濃度やpH、使用期限、使用方法などの表示をよく確認するようにしましょう
物に付着した新型コロナウイルスの消毒や除菌には「次亜塩素酸水」や一定濃度のアルコール、界面活性剤等、さまざまな選択肢があります。目的に合ったものを適切に使いましょう
事業者への要望
商品本体や取扱説明書等に有効塩素濃度やpH、使用期限、使用方法を表示し、使用期限内は表示の有効塩素濃度やpHが保たれるよう要望します
効果等について、消費者に誤認を与えないよう、表示の見直しを要望します
情報提供先
消費者庁(法人番号5000012010024)
内閣府 消費者委員会(法人番号2000012010019)
厚生労働省(法人番号6000012070001)
経済産業省(法人番号4000012090001)
独立行政法人製品評価技術基盤機構(法人番号9011005001123)
公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会(法人番号8010005004343)
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(法人番号1010405018940)
アマゾンジャパン合同会社(法人番号3040001028447)
ヤフー株式会社(法人番号3010001200818)
楽天株式会社(法人番号9010701020592)
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165