プラスチック製ごみを減らし海洋汚染を防ごうと、シリコーン製や金属製で繰り返し使う「マイストロー」の人気が高まっている。飲食店などでプラスチックの使い捨てストロー廃止が相次ぎ、生活雑貨店の売り上げは好調。ただ、専用ブラシで洗う煩雑さや周囲の好奇の目もあり、購入に二の足を踏む人もいる。
「会社に毎日欠かさず持っていくのが習慣」。都内に住む会社員丹波小桃さん(24)は約五カ月前からステンレス製のマイストローを使う。日常的に使う丹波さんを見て、興味を持った家族や友人らが使い「一人、また一人と輪が広がっていくのがうれしい」と話す。
二〇一五年、ウミガメの鼻に刺さったストローのネット動画が投稿され、プラ製ストローの使用抑制が広がった。生活雑貨店のロフトでは、昨年九月から関連商品の入荷を強化する。今年九月のストロー全体の売上高は前年同月比約四・三倍で、マイストローの売り上げアップが貢献した。メイン層の若い女性に加え最近は男性も多く、ギフトとしても人気だ。
バリエーションもここ一年でぐっと増えた。持ち歩きに便利なケース付きや伸縮性のある折りたたみ式など、機能的な新商品が続出。三百円台から購入できるステンレス製や、アレルギーが出にくいとされるチタン製など素材も選べる。
ただ、まだ購入を悩む人も少なくない。「エコで良いなと思うけど、周りに持っている人がいない」「飲み物のひんやり感が一層楽しめるが、外出中は不便」などの声も。
損保ジャパン日本興亜は昨年十月から、本社の社員食堂などで使い捨ての提供をやめた。代わりにマイストロー持参を呼び掛け、年間約十七万本の削減につながった。ファミリーレストラン「ガスト」や「ジョナサン」も六月までにプラ製ストローを完全に廃止している。希望者にはトウモロコシが原料のバイオマスストローを提供している。
環境汚染に詳しい東京農工大の高田秀重教授は「ストローを持ち歩く人が増えると、それを見た周りの人や店がプラごみ問題を考える。直接的な数だけでは効果が薄くても、きっかけづくりとしての波及効果はかなり大きい」と指摘している。
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